複数の大学に合格した受験生は当然、その中から一つを選んで進学する。では、その入学辞退者の割合が多い、つまり合格者から選ばれない大学はどこか。特集『新・理系エリート』(全59回)の#28では、2023年度入試における全国79薬学部の「入学率」ワーストランキングを作成した。( ダイヤモンド編集部 野村聖子)
合格者から選ばれない大学は?
「入学率」ワーストランキング
大学入試では、第一志望以外にも複数の大学を受験するのが一般的だ。学費が安い国公立大学は学生の第一志望になりやすく、私立大学は“併願校”になりやすい。そこで、ほとんどの私立大学は入学辞退者の割合を勘案し、入学定員の何倍もの合格者を出す。薬学部においてもしかりだ。
いくら志願者や受験者が多くても入学者が少なければ、国が薬学部の質を測る際に問題視する要素の一つ、「入学定員充足率」(募集定員に対する入学者数の割合)に影響する。
文部科学省は2022年8月に公表した「6年制課程における薬学部教育の質保証に関するとりまとめ」内で、標準修業年限内(在学6年間)での卒業率・国家試験合格率が低く、学生が集まらない大学は、今後私学助成金の減額・不交付も辞さない構えを見せている。入学者数の確保は、経営面だけでなく、国からの淘汰圧を退けるという上でも、大学の存続には欠かせない。
では、合格者に進学先として選んでもらえない、合格者数に占める入学者の割合が低い薬学部はどこか。次ページでは、23年10月に文科省が公表した資料を基に、23年度入試における全国79薬学部「入学率」ワーストランキングをお届けする。