それは「役員退職金を支払った年度」です。
役員退職金を支払う年度は、一時的に、とても多くのキャッシュが会社から出ていくことになります。本業の業績はいいのに、決算書上では赤字になることもあります。すると会社の株式の評価額は下がります。このタイミングで、相続時精算課税制度を使って株式の贈与を行うのです。
現状のルールでは、会社の株式の評価額は、複雑な計算の元に算出されるのですが、その計算要素として「利益」があり、かつそのウエイトが大きいため、この手法が使えます。裏を返せば、会社の株式の評価額を定めるルールが変わってしまえば、この手法も使えなくなってしまうということでもあります。
もしも会社を経営していて、孫に何らかの資産を贈与したいと考えている方は、この手法を早めに検討することをおすすめします。
(本原稿は橘慶太著『ぶっちゃけ相続【増補改訂版】』から一部抜粋・追加加筆したものです)