その後、古川氏は新卒でリクルートに入社する。そこで同期として出会ったのがのちに起業家として名をはせるじげん代表取締役の平尾丈氏やジーニー代表取締役社長の工藤智昭氏といった面々。さらに周囲にはリクルートホールディングス代表取締役社長の出木場久征氏や、STRIVE代表パートナーの堤達生氏、Kaizen Platform代表取締役の須藤憲司氏などもいる環境だったという。そのためたとえ大企業の中にあっても、「当然みんな会社を作るよな?」という雰囲気だったそうで、環境が起業マインドを育てたという。

古川氏
古川氏

三度目の起業となるアルは、KDDIグループを離れた古川氏が、長く本当に自分のやりたいビジネス、一生を注げるものをと考えた時に「漫画やクリエーターを支援することだと考えた」という、はじめて「やることありき」で始めた事業とのこと。

「私はゴリゴリに、一生会社員で務めようと思っていました」──過去を振り返ってそう語るのはYOUTRUSTの岩崎氏だ。学生時代を過ごした大阪では、周囲に起業する人間もいなかったという岩崎氏。だが新卒で入社したディー・エヌ・エー(DeNA)で人事を担当している中で、思いのほか転職市場に課題感を感じたのだという。

「私の倫理観では(許せずに)『これは何とかならないか』と思った時に、起業家の先輩である綾太郎さん(ペロリ創業者で、現在はstand.fmなどのサービスを手がける中川綾太郎氏)に『そういうときに起業ってするんだよ』と言われたんです」(岩崎氏)

その後3カ月ほど迷ったのちに起業を決心したという岩崎氏。振り返って、「偶然だが、起業家や投資家の先輩に相談したりできる環境にいたことがよかった」と語る。前述の中川氏に限らず、BASE FOODの橋本舜氏、Chompyの大見周平氏など、起業したDeNA時代の同期も少なくない。岩崎氏は熱量が伝播する環境に居たことも結果として武器になっていると振り返る。

岩崎氏
岩崎氏

高校生時代からフリーランスのエンジニアとして働いていたというのはNew Innovationsの中尾氏だ。ロボットコンテストの日本代表にも選ばれた経験があるという中尾氏だが、その費用を稼ぐために選んだのが学生エンジニアとして受託ビジネスをすることだった。高校3年生の冬には法人化し、それなりの売り上げも立てられたという中尾氏。だが、その延長線上にやりたいことがないと思い、今の事業に至る道を模索した。