A.L.I.は地上数メートルの高さを走行するホバーバイク「XTURISMO」の製造・販売のほか、ドローンの運用などを手がけるスタートアップ。各種メディアでも話題になったXTURISMOは、価格7770万円(保険料と操縦講習料込み)ながらも日本だけでなく、海外からも購入されている状況だという(台数非公開)。現在はXTURISMOのような有人モビリティだけでなく無人ドローンも含めて運用を管理するシステムである「C.O.S.M.O.S」を開発。海外展開に向けての準備を進めているという。

一方のPONO CAPITALは日本のスタートアップをNASDAQに上場させることを目的に組成されたSPACだ。8月にも第2弾となるSPAC「PONO CAPITAL TWO」をNASDAQに上場させている。独立系VCの千葉道場ファンドやドローン特化VCのDRONE FUNDなどで代表パートナーを務める千葉功太郎氏がPONO CAPITALおよびPONO CAPITAL TWOの社外取締役に就任している。

A.L.I.は2017年にDRONE FUNDから資金調達をしている。A.L.I.代表取締役の片野大輔氏によると、2021年8月時点でDRONE FUNDを介してPONO CAPITALの存在を知り興味を持ったが、会計基準の変更が難しく、また東京証券取引所(東証)での上場も検討していたため、SPAC上場を見送ったという。

だが国内市場では時間のかかるディープテック領域のスタートアップは、上場こそできても時価総額での評価がつきにくい(直近では東証も新方針を打ち出し、ディープテックの上場にも力を注いでいる状況ではある)。。最終的に米国市場での上場を決意し、2022年6月に米国にAERWINSを設立。NASDAQ上場を目指していたという。

SPACは通常、De-SPACを検討する企業と独占的に交渉する。PONO CAPITALが8月に他社との交渉が破談したことを発表。そのタイミングで片野氏はPONO CAPITALとコンタクトを取り、あらためてPONO CAPITALとのDe-SPACによる上場を決めた。

片野氏はSPAC上場の利点について「スピード感や評価額の固まりやすさ、SEC(米国証券取引委員会)対応の支援などもサポートしてもらえるのは(直接上場よりも)有利だった」と語る。なお千葉氏についてはDRONE FUNDおよびPONO CAPITAL両社の利害関係にあるため、今回のDe-SPACに関する交渉・決議には関与していないという。