ジャンクなイメージを刷新、料理としておいしいポテトチップスへ

大槻:幅広いターゲットと想定シーンに対して、具体的にどういった発信をしているのでしょうか。

髙戸:価格設定、パッケージ、コミュニケーション、すべてにおいて「モノの良さ」をキーメッセージにしています。

訴求シーンの例を挙げると、夕飯後に1日の最後のご褒美としてお酒を飲みながら食べる、もしくは日中のちょっとした休憩に食べるといったところを想定しています。最近はコロナ禍で在宅勤務の人たちも増えてきており、家の中でずっと過ごす人も少なくありません。そんな時にプレミアムなポテトチップスを食べて、気分を切り替えていただきたいと考えています。

また、プレミアム感がより伝わるよう、価格は従来のポテトチップスより少し高く設定し、パッケージは味へのこだわりがそのまま伝わるようにしました。コミュニケーションにおいては、その時々の旬な人たちをブランドのイメージキャラクターとして採用しています。現在は永野芽郁さんを起用しています。ポテトチップスのジャンクなイメージを刷新したいという意図からです。湖池屋プライドポテトは料理のような味作りとして推したかったので、「永野さんが食べているなら、私も食べてもいいじゃん」と思っていただけることを期待しました。

湖池屋マーケティング本部の高戸万里那氏
湖池屋マーケティング本部の髙戸万里那氏

大槻:これまでと違う路線の商品を展開するのに、社内の反応はどうでしたか。

近藤:営業部門とはすごく密に連携しました。各営業の社員たちが自分の言葉で説明できるよう、全国の支店を行脚し、湖池屋プライドポテトの商品の価値を伝えて回りました。

髙戸:他にもシリーズで売れるように、営業部と一緒に販促施策を企画しました。店頭で湖池屋プライドポテトがコーナーで立ち上がるように、サポートツールを作るなどといったことです。

私は当時九州の営業を担当していたのですが、湖池屋の商品はあまり定着していなかったんです。ただ湖池屋プライドポテトを出すときは、小売業者さんからの期待感が感じられました。発売後も、価格の安い従来のポテトチップスより店頭での回転個数が落ちる小売業者さんもあったものの、それだけでカットするべき商品ではないと、営業して回りました。

近藤:湖池屋プライドポテトの発売を通じて、営業の意識も変わりました。店頭で売れないからカットされても仕方ないとはならず、商品価値を育てていくという意識ができたのが、この湖池屋プライドポテトだと思います。

デジタル施策でプレミアム市場にさらに根を張る

大槻:プレミアム市場を切り開き、定着してきたのが今だと思います。その背景には、どのような施策が展開されていたのでしょうか。