「要らなくなったらすぐに手放せるのが取引履歴が残るブロックチェーンのいいところで、僕らがNFTを採用した理由もセカンダリーマーケットがある点でした。それで実際、一般の方も手を出しやすいような価格と仕組みになったのが大きかったのではないかと思います。ただこんなに売れるとは思っていませんでした」

「それでもこれから実際に宿泊されるようになれば、『これで3万円(150万円で47年分の権利を購入した場合の1泊あたりのおよその宿泊費)で泊まれるんだ』というメリットは多分感じていただけると思います」(濱渦氏)

パートナー事業により全国への拠点展開を加速、5年で売上累計1000億円を目指す

AOSHIMAに続いて12月には、NASUが完成を迎えるNOT A HOTEL。その後も福岡県福岡市の都市型コンドミニアム「FUKUOKA」、長野県の軽井沢駅から30分のロケーションに位置する「KITAKARUIZAWA」、沖縄県石垣島の「ISHIGAKI」、群馬県水上町で天然温泉付きヴィラとして展開する「MINAKAMI」など、全国に拠点を増やしていくもくろみだ。このうち水上町のプロジェクトはオープンハウスとの共同開発によるもの。土地購入や建築はオープンハウスが担い、NOT A HOTELはAOSHIMAなどの自社展開物件にも導入したソフトウェアとブランドを提供して販売を担当する。

NOT A HOTEL代表取締役CEOの濱渦伸次氏
 

「今はフラッグシップモデルとして土地を仕入れるところから僕らがやっていますが、今後はパートナーとの事業展開を増やしていきます」(濱渦氏)

10月7日にスタートしたパートナー事業「PARTNER HOTELS」で、NOT A HOTELと同様の販売・運営が可能なプラットフォームを提供。第1弾として、スモールラグジュアリーホテルブランド「UMITO」シリーズの「UMITO PLAGE The Atta Okinawa」の販売も始まっている。NOT A HOTELとPARTNER HOTELSは相互利用が可能。今後もパートナーとの協業で全国に拠点を増やす考えだ。

10月14日には、ANRI、オープンハウスグループ、SMBCベンチャーキャピタル、And Do ホールディングスと個人投資家を引受先とした第三者割当増資により、シリーズAラウンドのファーストクローズとして約20億円の資金調達を実施した。シードラウンドからの累計調達額は総額約41億円となる。

「黒字化してきたので、調達金額も(不動産・ホテル業としては)コンパクトに実施する」と濱渦氏。