13大学共催の起業支援プログラム「1stRound」のディレクターを務める東大IPCの長坂英樹氏
13大学共催の起業支援プログラム「1stRound」のディレクターを務める東大IPCの長坂英樹氏

日本の大学に眠る“ディープテックの種”となる基礎技術を、適切な形で事業化するための支援をする──。2017年に東京大学を母体として始まった起業支援プログラム「1stRound」が、大学の輪を広げながら拡大している。

1stRoundはもともと東大と東大の子会社である東京大学協創プラットフォーム開発(東大IPC)の共催プログラムとしてスタート。2021年より筑波大学、東京医科歯科大学、東京工業大学を加えた4大学の共催プログラムとなり、2022年には神戸大学、名古屋大学、一橋大学、北海道大学が加入し共催大学の数は8大学まで広がった。

そして2023年3月15日には新たに九州大学、慶應義塾大学、立命館大学、立命館アジア太平洋大学、早稲田大学の参画が発表され、“国内13大学”が共催する起業支援プログラムへと進化した。

1stRoundでは年に2回・各回8チーム程度を採択し、事業資金の提供や事業開発の支援、大企業との協業のサポートなどを行う。1stRoundのディレクターを務める東大IPCの長坂英樹氏によると、年間の応募チーム数は260〜300程度。採択チームを決める最終審査には同社が関わらず、コーポレートパートナーの大手企業や外部のVCが「マーケットの目線から審査をする」形式を採っている。

支援内容の特徴の1つが最大1000万円の「Non-equity型の資金(株式を取得しないかたちでの資金提供)」の提供だ。初期の事業開発にあたって幅広い用途で使える資金を供給するとともに、採択チームの技術を社会課題の解決に結びつけるために大手企業との協業も後押しする。6カ月の支援期間で事業化の芽が出れば、その後の成長を支えるVCや金融機関などにつなげる役割も担う。