終了後に双方が「また話したい」と回答すればマッチングが成立。個別にコミュニケーションが取れるようになる。マッチング後は電話やチャットツールで話してみるのもいいし、リアルで会ってみるのもありだ。Memoriaの中でバーチャルデートを楽しむこともできる。

メタバース上での初回の顔合わせの様子
メタバース上での顔合わせのイメージ

「内面からの恋愛がしやすいというのがメタバースのメリットだと思っています」──。佐藤氏はMemoriaの特徴をそのように説明する。

「実際にMemoriaのユーザーの中には、(経歴や年収などの)スペックや外見が重視されすぎていることから既存のマッチングアプリに抵抗があるという方や、ギラギラした雰囲気が合わなかったとおっしゃる方が多いです。移動や化粧などもなく手軽に参加できることから、特に女性の方からは『お風呂上がりにパジャマ姿でも利用できるのがいい』と言っていただくこともあります」(佐藤氏)

現在は男性が月額3900円、女性は無料で使える。Memoriaの場合は運営側が最初のマッチング(顔合わせ)をサポートするので、ユーザー間でメッセージや『いいね』を送り合う必要もない。プロフィールカードに加えて、話題サイコロや心理テストといったコンテンツなど、初対面のユーザーが話しやすくなる工夫もした。

心理テストなど、会話を盛り上げるきっかけとなるコンテンツなども用意している
心理テストなど、会話が盛り上げるきっかけとなるコンテンツなども用意している

顔合わせの時間を30分にしているのも「相手のことがある程度わかった上で、もう少し話してみたいと思ってもらいやすい」(佐藤氏)から。8分や1時間など、複数のパターンを試した結果、30分に落ち着いたのだという。

これまで提供していたベータ版では利用する際にMeta QuestのようなVRヘッドセットが必要だったが、正式版ではPCのみでも使えるように改良した。「マッチング後のデートの場所」としても使いやすいように、電車内や庭園などMemoria内の“ワールド”の数も少しずつ拡充している。

原体験は「VRChatで彼女ができた」こと

Flamersの代表取締役を務める佐藤航智氏
Flamersの代表取締役を務める佐藤航智氏

Flamersは佐藤氏が東京大学在学中に創業したスタートアップだ。もともとは長期インターンのマッチングサービスからスタートしているが、友人から借りたVRハードウェアを使ったことを機にVRの可能性を感じ、新規事業を立ち上げることを決めた。

その中でも“恋愛”に着目したのは、佐藤氏自身の原体験の影響が大きい。

「自分自身がVRChat上のイベントで出会った人と仲良くなり、お付き合いするようになったんです。相手の外見がわからない状態の中で、メタバース内の水族館に行ったり、ジェットコースターに乗ったり。彼女が地方に住んでいたこともあり、実は付き合ってから2カ月後に初めてリアルで会いました」