同社の創業は2013年。サービス開始当初は企業の販促活動が紙からウェブへ切り替わり始めたタイミングだったこともあり、LP(ランディングページ)やバナー広告など自社サイトをA/Bテストなどを通じで改善することが主だったが、あらゆる領域にテクノロジーが活用され始め、事業の幅を拡大していった。

昨今は企業のDXをトータルサポートする「Kaizen DX」や、動画広告の普及に伴い動画クリエイティブを分析し、改善するサービス「Kaizen Ad」も手掛けている。

今回、新たにリリースしたKaizen TVは同社がこれまでに培ってきたノウハウとクリエイターのネットワークを活用することで誕生したサービスだ。大きな特徴はテレビCMのクリエイティブを早く、安く制作できる点にある。東京のキー局でCMを放送する場合、番組の視聴率によって料金は異なるが、一般的に数百万円から数千万円かかると言われている。そうした中、Kaizen TVが1本50万円からテレビCMのクリエイティブを発注できる体制を構築できた背景には、1万人以上のクリエイターの存在がある。

同社が抱えるクリエイターのネットワークを活用することで、テレビCMのクリエイティブを早く・安く制作できるほか、複数クリエイティブの検証も安価に対応できる体勢を構築。これにより、いち早くクリエイティブの”勝ちパターン”、つまり効果の高いクリエイティブの制作が確立できるようにした。

また、広告の目的やターゲットに最適化された配信枠の確保やスピーディーな効果検証・データ分析についてはCARTA HOLDINGSと連携。同社が提供する、テレビCMのマーケティングプラットフォーム「PORTO tv」を活用することで、クリエイティブの制作から配信、効果検証までを一気通貫で対応できるようにしている。

動画広告で培ったノウハウをテレビCMに生かす

「私たちの強みはデータドリブンで効果を改善していくことです。テレビ広告市場自体が強みを生かせる領域へと変わってきていたので、参入を決めました」(須藤氏)

Kaizen Platform代表取締役の須藤憲司氏は、テレビ広告市場への参入の経緯をこう語る。須藤氏によれば、何より大きかったのが「改正放送法」が可決・成立されたことだ。

これまでNHK(日本放送協会)は放送法で「ネット配信」と「テレビ放送」の分業が定められていたが、改正放送法によってネット配信とテレビ放送で同じコンテンツを常時同時配信(放送同時配信)することが認められた。実際、NHKプラスでは常時同時配信が始められており、この動きに民放キー局5社も追随すると見られている。