すでに画像解析技術を活用して、ルールベースで画像検査を行う手法自体は存在するものの、そこには「単純な異常にしか対応できない」「アルゴリズムの構築に時間と費用がかかる」「複数検査が困難」といった点がネックになっていたと西本氏は話す。
近年はディープラーニングの発展によりこうした状況が変わりつつある。従来の手法では検出が難しかった複雑な欠陥を検出することができるようになり、外観検査の自動化が現実味を帯びてきている。
一方で、AIエンジニアが希少なためシステムを作るコストが却って高単価になりうるなどコスト面の問題は残る。AIエンジニアに現場の知見がなければ、せっかくいいAIを開発しても現場にフィットしないといないこともありうるという。
MENOUが手がける「MENOU-TE(メノート)」は、この問題点を解決しながら製造業を中心としたさまざま企業がAIを活用できるように手助けする仕組みだ。
同サービスの大きな特徴は専門知識を持たなくても、直感的な操作(GUI)でAI検査モデルを開発できるノーコード型のプロダクトであること。導入企業の担当者自身がマウス操作など簡単な方法でデータ準備からAIモデルの作成、AIの評価、出力までができる仕組みを作った。要はAI作成に必要な機能を1つのアプリ上でまるっと提供しているわけだ。
またMENOU-TEでは作成した独自のAI同士を簡単につなぎ合わせられるタスクコネクションという概念を導入。これまで人が行なっていた検査を細かい作業(タスク)ごとに分解し、各タスクに最適なAIモデルを作ってそれぞれを組み合わせることで、複雑な検査も自動化できるという。
顧客の視点ではこのサービスを使うことで、AIを試すためのハードルを下げられることが大きい。
膨大な予算があるエンタープライズ企業などであれば、SIerに頼んで自前のシステムを構築することも可能だが、そのためには数千万円規模の初期投資が必要。人手不足などの問題が深刻で、自動化のニーズの大きい中堅・中小企業ではなかなか手が出せなかった。
「(AI活用に)興味はあるものの数千万円単位の投資がかかるため、検査は人でやるしかないと諦めていた企業も多いです。今までは高いコストを支払って外部の企業にお願いするか、従来通り目視検査で対応するしかなかった。そういった企業でもAIを活用できる選択肢を作っていきたいと考えています」(西本氏)