もちろん担当者にツールを渡すだけでスムーズに現場でAIが活用できるケースは稀だ。そのため、今の所は「検査自動化導入サービス(MENOU-IN)」という形でMENOUのメンバーが撮影用のデバイスの選定や解析環境の構築の段階から一緒に伴走することがほとんどだという。
この検査自動化導入サービスも含めた場合でも、MENOUのプロダクトを使えば初期費用は数百万円、月額のランニングコストも数万円単位に抑えられるとのこと。現在は数社がすでにこの形式で同社のサービスを現場に取り入れている。
冒頭でも触れた通り、MENOUは西本氏を含むニコン出身のメンバーが立ち上げたスタートアップだ。
きっかけは西本氏がニコン在籍時に画像検査システムの開発に携わった際、ほぼ全ての顧客が現場に検査員を配置して目視検査を実施する様子を目にしたこと。ただでさえ今後人手が足りなくなることが予想されるのに、すでに「今の担当者がやめてしまったら業務が回らなくなる」という現場が多いことを知り、自動化が急務だと感じた。
当初はニコンの社内プロジェクトとして始めたが、変化のスピードが早いAI領域で本格的に事業を進めていくために独立することを決断。2019年6月にMENOUを立ち上げた。
今後は組織体制を強化しながらMENOU-TEの機能拡張に取り組み、中小規模の製造業をメインにより多くの企業への導入を目指す計画。9月28日にDEEPCORE、シーシーエス、三菱UFJ キャピタルから約8000万円の資金調達も実施した。
「今では多くの人がExcelを使って作業をしているのと同じように、ゆくゆくはAIを誰もが使いこなすような世界になると考えています。外観検査においても同様で、さまざまな企業が汎用的なPCを使って簡単に検査AIを作って試せるようにしていきたい。MENOU-TEを軸にそのための環境を整えていきます」(西本氏)