弁護士として20年近く働き、特に国内外の企業間紛争を専門に担当。顧客の中心は大企業だったが、中堅・中小企業のサポートをすることもあり、その際に感じた課題感がリセを創業するきっかけになったという。
「(料金などがネックとなり)きちんとしたリーガルサービスが行き届いていないが故に、契約書にリスクが潜んでいる状態で契約を交わしてしまっている事例をいくつも見てきました。特に海外企業との契約については『契約書の内容がもう少し違うだけでももっと戦えたのに、紛争が起こらなかったのに』ということが何度もあり、ずっと課題感を抱えていたんです。そんな時に海外のリーガルテックサービスの存在を知り、日本でも質の良いサービスを合理的な価格で提供できるのではないかと考え、起業することを決めました」(藤田氏)
り~が~るチェックに契約書のデータを読み込ませれば、瞬時に不利な条項や抜けている条項を指摘し、ユーザー企業の立場に応じた代替案を提示。条項の見落としリスクを防げることに加え、弁護士が作成した解説を表示することで専門知識をキャッチアップできるような機能も実装している。
また海外企業との契約をサポートする仕組みとして、英文契約書のレビューや独自AIによる和英訳(翻訳)機能も取り入れた。上述したとおり翻訳や英文レビュー機能に関しては追加料金がかかるものの、半数以上の顧客が契約しているのだという。
「今までは見るのが苦痛で契約書が届いても放置してしまっていたのが、心理的な抵抗が軽減されたことで『そんなに嫌ではなくなった』という声を複数社からいただいています」(藤田氏)
英文レビューに関しては翻訳に限らず、そもそものレビューの質にも自信を持っているそう。もともと藤田氏がこの領域に詳しいことに加えてアジアとの取引に特化して法的助言を行っている法律事務所ともタッグを組みながら、現在はアジアの企業との契約を重点的にサポートしている。
藤田氏の話では「日本企業がアジアの企業と契約をする時にはこの点に気を付けなければならない」というポイントがいくつかあるそうで、それを踏まえてレビューと代替案の提示をできるのがり~が~るチェックの強み。その他の領域に関しても、各法律の専門家の協力を受けながらAIによるレビューの質を高める取り組みを続けてきたという。
今後は引き続きレビュー精度の磨き込みと機能拡張を進めていく計画。それに向けて11月17日にはミロク情報サービスおよび複数の個人投資家を引受先とした第三者割当増資により、2億1570万円を調達した。なお個人投資家については今回新たに複数の弁護士が加わったほか、既存投資家からも追加で出資を受けているとのことだ。