10月には米スタートアップメディアのThe InformationやBloombergで活躍してきたEric Newcomer氏が、「Newcomer」というニュースレターを開始した。「Wall Street Jounrnalよりもはるか先に次の急成長スタートアップを知ろう」といったスローガンを掲げ、スタートアップやベンチャーキャピタル(VC)の関係者を中心に高い支持を受けている。

2021年に入ってからは国産の配信サービスが続々と登場している。6月にはメディア関連事業を展開するINCLUSIVEの子会社であるNewsletter Asiaが「WISS」を、9月にはスタートアップのSpectraが「Medy」をリリース。そして10月18日には同じくスタートアップのOutNowが「theLetter」を正式ローンチした。

日本におけるニュースレターの可能性やtheLetterを展開する理由について、OutNow代表取締役の濱本至氏に話を聞いた。

専門家から知見を直接得られるプラットフォームを目指す

OutNowは2018年8月設立のスタートアップだ。2020年7月にtheLetterのベータ版を公開し、ニュースレターを配信できるライターを数十名程度に絞り展開してきた。

もともと海外のニュースレターをよく読んでいたという濱本氏は、特にコロナ禍での新型コロナウイルス関連のフェイクニュースやセンセーショナルな切り取りをする報道を懸念し、専門性の高い情報を得られるニュースレタープラットフォームの重要性を痛感。theLetterの展開を開始したという。

「パンデミックの最中では誰もが『正しい情報が欲しい』と考えます。医療やワクチンに関する正しい情報も報道されている一方、レアケースが大々的に報じられているケースもあり、“煽り”を感じることもありました」

「自分自身は専門知識を持つ医者や研究者、現場で働く医療従事者、そうした方々から情報を得られるジャーナリストなどから直接情報を得ようとしていました。アルゴリズムによってレコメンドされる情報が並んだり、インフルエンサーが発信する情報が流れてきたりする場所とは異なる、専門知識を持つ方々から直接情報を得られるプラットフォームの必要性を感じ、theLetterを展開しています」(濱本氏)

前述のとおり現在は数十名ほどのライターがニュースレターを配信する、theLetter。裁判傍聴や美容・ファッション関連のニュースレターなどが配信されている。