ゼロボードは11月1日までにインクルージョン・ジャパンとDNX Venturesを引受先とする第三者割当増資を通じて約3億円を調達。この資金を活用してプロダクトの開発と顧客支援体制の強化を進める計画だ。

膨大な手間のかかる「CO2排出量の算出」を簡単に

zeroboardは企業活動によって排出されたCO2量を算出し、GHGプロトコル(温室効果ガスの排出量の算定と報告に関する国際的な基準)に沿ったかたちで見える化するサービスだ。

GHGプロトコルの区分には自社の事業活動における直接的なCO2排出(Scope1)と間接的なCO2排出(Scope2)に加えて、物流や廃棄など、自社の商品に関連した“他社”のCO2排出(Scope3)が存在する。

ゼロボード代表取締役社長の渡慶次(とけいじ)道隆氏によると、特に先進的な企業を中心にScope3についても自社の責任範囲として捉え、排出量削減に向けた取り組みを進めていこうとする動きが広がりつつあるという。

GHGプロトコルにおけるScope1~3のイメージ
GHGプロトコルにおけるScope1~3のイメージ

一方で大企業ほどサプライヤーや関連会社の数が多く、サプライチェーン全体のCO2排出量を把握する難易度は高い。zeroboardではデータ連携やサプライヤーとの連携を通じて必要なデータを収集するための手間を削減。それによって“サプライチェーン全体”や“商品ごと”のCO2排出量をスムーズに把握できるようにする。

現在ベータ版で提供しているのは「排出量のデータ登録」と「算出した排出量を可視化するダッシュボード」の2つに関する機能だ。

専門的な知識がなくとも、サービス上で「灯油を使用しているか」などの質問に答えていけば算定対象となる項目が明らかになるので、あとは各項目の活動量を埋めていけばいい。

登録画面のイメージ
登録画面のイメージ

同サービスは関連会社やサプライヤーにも使ってもらうことを想定しており、企業が利用する会計ソフトなどのビジネスツールや、サプライヤーとのデータ連携によってデータ集計の負担を減らす。

CO2の排出量は基本的に「活動量×排出原単位」で算出されるが、zeroboardでは排出原単位があらかじめ設定されていることから、活動量さえ入力すれば排出量は自動で計算される仕組みだ。

ダッシュボード上では商品や部門、Scopeごとなどに排出量を細かくチェックすることが可能。7月から提供を始めたベータ版は大手企業を中心に約80社が活用する。

ダッシュボードのイメージ。期間や拠点、Scopeごとなどに細かく排出量を確認できる
ダッシュボードのイメージ。期間や拠点、Scopeごとなどに細かく排出量を確認できる

利用企業は大きく2パターン。1つはScope3の解像度を上げたいという製造業の顧客だ。

従来も大まかな標準値を出していたものの、この数値をより正確に把握したいというニーズが増してきているという。これまではエクセルなどを駆使しながら自力で集計・計算するくらいしか手段がなかったが、あまりに負荷が大きい。そこで「サプライヤーも巻き込みながら効率的にできる仕組み」が求められている。