経営層や事業部長のメッセージ、社員の自己紹介、社内イベントの様子、社内勉強会の記録、導入しているツールのマニュアルなどを動画としてミルビィポータル上に蓄積する。そうすることで企業文化の浸透や社員間の情報共有が促進されるのだという。

直近では「動画社内報」の用途で使われるケースも増えてきており、それに特化した動画制作の支援やコンサルティングサービスの提供も始めた。

クローズドな環境での動画共有については、YouTubeでも限定公開機能を使えばできないことはない。実際にエビリーがヒアリングをしていても、同機能を活用している企業も存在したという。

ただし限定公開機能の場合はURLを知っていれば動画にアクセスできてしまうこともあり「YouTube上に置くのは心理的なハードルがある」と感じる企業も少なくない。その点、ミルビィポータルは企業内での利用に特化しているため、すべての動画を会員のみが閲覧できる環境を作れる。

また「誰が、どの動画を、どこまで視聴したのか」を解析できる機能や、動画視聴後の理解度チェックや意見収集に使えるアンケート機能なども搭載。顧客の細かい要望にも応えられる仕組みを整えたことが、事業の成長につながった。

YouTubeが伸びることで生まれるニーズに応える

動画SNSデータ分析ツール「kamui tracker」
動画SNSデータ分析ツール「kamui tracker」

ミルビィが“YouTubeが十分にはカバーできていないニーズ”に対応するものだとすれば、第2のプロダクトであるkamui trackerは“YouTubeが浸透することで新たに生まれたニーズ”に対応することで成長を遂げたプロダクトだ。

中川氏はYouTubeの存在感が高まっていた2014年ごろから、自分なりに市場の分析に一層力を入れるようになった。そこで感じたのが「YouTubeに動画をあげても、全ての動画が見られるわけではない」ということだ。

「YouTube上で見られるコンテンツとはどのようなものなのか。それをちゃんとデータとして提供できるサービスがあれば、今後ニーズが高まると考えました。事業の立ち上げ方は過去と同じ。当時稼いでいた利益をすべてこの事業に投資して、最初の1年はひたすらAPIを叩いてデータを収集し、2016年にYouTubeデータベースとしてスタートさせました」(中川氏)

kamui trackerは中川氏いわく「テレビにおけるビデオリサーチのようなサービス」だ。国内登録者数1000人以上のYouTubeチャンネルのデータを網羅していて、YouTube上でのトレンドをさまざまな切り口から分析するのに役立つ。