一方、Instagramの場合、もとより節約に関する情報を求めてアカウントをフォローしている主婦ユーザーが多く閲覧しているため、バズる内容も家事で役立つ実践的な調理アイテムなどが多い傾向にある。

なぜ「TikTok売れ」が起きるのか──短尺動画で“モノが売れる”3つの理由
 

TikTokは、SNSの中でも唯一楽曲がコンテンツの評価を決める点にも特徴がある。TikTokの楽曲トレンドの変化は目まぐるしく、どんなにバズっている楽曲でも1週間程度でそのブームが下火になることも多い。若年層の間でどんな楽曲がどのようなフォーマットで使用されているかを感度高く見極める必要性があるのだ。

さらにTikTokは他のSNSプラットフォームに比べ、フォロワー数に関係なくクリエイティブの質次第でバズることができる実力勝負なところがある。そのため、TikTokではやっている楽曲や型をいち早くキャッチした上でコンテンツ自体を面白く作り込むことができれば、アルゴリズムからの評価によって潜在層まで幅広くリーチすることが可能になる。

逆に言えば、少しでもTikTok上のブームが過ぎたコンテンツを発信すれば、高い確率で“滑ってしまう”シビアさがあるということだ。コンテンツのブームが2〜3ヶ月続くこともあるInstagramに比べ、TikTokはトレンドをより素早く正確につかむことが必要になってくるのだ。

TikTokマーケティングはまだまだブルーオーシャン

「TikTok売れ」が冒頭の日経トレンディの「2021年ヒット商品ベスト30」のヒットランキング1位になったとはいえ、日本におけるTikTokマーケティングはまだ発展途上であり、ブルーオーシャンとも言える。

海外の場合、ラグジュアリーブランドをはじめとする大手ブランドは2018年以降、着々とTikTokに参入している。プラダ(Prada)、ドルチェ&ガッバーナ(Dolce & Gabbana)などは昨年から参入し、初回投稿からTikTok上のクリエイターとコラボして確実に成功を収めるなど、戦略的に活用していることが伺える。

日本はTikTokにおけるビジネスの価値が今ようやく認識されはじめたばかり。プラットフォームにPR投稿自体がそもそも多くない。インフルエンサーマーケティングもInstagramほど発達しているとは言えない。

その分、ステマやサクラインフルエンサーなどの悪質なユーザーが少ないプラットフォームである。そのためTikTokユーザーはTikTokerに対する信頼性も高く、TikTokerは純粋にコンテンツの質だけで勝負している現状がある。そこで磨かれたコンテンツは今後も増えていき、広告の効果もこれから最大化されていくと推測する。