三菱UFJフィナンシャル・グループの次期トップレースが終盤戦に突入した。2024年、亀澤宏規社長は任期5年目、半沢淳一・三菱UFJ銀行頭取は4年目に入る。それぞれの後継候補は誰か。トップ人事の不文律をひもとくと、意外な人物が浮上した。特集『金融 人事コンフィデンシャル』#1では、同グループの最新人事情勢をお届けする。(ダイヤモンド編集部副編集長 重石岳史)
人事の定石を覆した亀澤社長就任
それでも変わらない三つの不文律
戦略立案の中枢を担う経営企画部を経て銀行副頭取から頭取、そしてグループトップの社長へ――。かつてメガバンクで王道とされたトップ人事のルートだ。特に三菱UFJフィナンシャル・グループ(FG)においてその傾向は顕著で、「数代先までトップが分かる」といわれたのはそのためだ。
その王道人事が覆されたのが、2020年の亀澤宏規社長就任だった。
亀澤氏は経営企画畑ではなく、市場企画や海外などでキャリアを重ね、社長就任前はグループのデジタル化をけん引する最高デジタル・トランスフォーメーション責任者(CDTO)の職にあった。三菱UFJ銀行頭取を経ないままFG社長に就いたのは、亀澤氏が初である。
人事の定石が崩れ、亀澤氏や半沢淳一頭取のそれぞれの後継者が読みにくくなったのは事実だ。
だが、つぶさに過去の人事を分析すると、暗黙の了解事項ともいえる「不文律」の存在に気付く。そこから浮かび上がるのが、巨大金融グループを率いる次代のトップの実名だ。
その不文律とは何か。そして後継者は一体誰なのか。結論から言えば、史上初の異例人事が発動される可能性が高い。次ページでその詳細を明らかにする。