皆さんご存じの通り、来年1月から新NISA制度がスタートします。既存NISAはこれをもって廃止となり、日本に居住する全ての成人が新制度を活用できるのです。今般の改正は非課税限度額が劇的に拡大することに加え、言わば従前から抱えていた旧NISAにおける制度上の課題を大方克服させ、国家的意思が反映された非課税投資制度になったと受け止めてください。(なかのアセットマネジメント代表 中野晴啓)
貯蓄から投資へ…
日本の資産形成が変わる元年
岸田内閣は、増税と減税が交錯した政策の迷走で支持率を急低下させている最中ですが、以前から掲げている「成長と分配の好循環」というスローガン自体は、低迷する日本経済の再起に向けたまっとうなベクトルにあるといえます。とりわけ国民の賃金所得拡大は、喫緊の課題と位置付けています。
それに加え、もう1つのスローガンである「資産所得倍増プラン」は、労働の対価としての所得のみならず、この国の生活者全員で保有する金融資産から、新たな富が恒常的に生み出される構造を国民社会に定着させることを狙っています。そうすることにより、所得(資産所得=金融所得)として生活者に享受される資金循環を意図したものです。
日本で暮らす国民が持つ預貯金はもう長きにわたって実質ゼロ金利の状況です。利息を生まなくなって久しい国民のお金を、経済活動の中に投入して働くお金に転換したい――。すなわち「貯蓄から投資(資産形成)へ」の行動喚起を社会に根付かせて、預貯金をリターンが生まれるお金に換えることが政策目的で、多くの人々をいざなう制度が新NISAなのです。
さて、新NISAはいくつもの点で大きく制度が拡充されました。とりわけ重要な改定・拡充を得た仕組みを見て、その有効活用に向けた4つのポイントを解説しましょう。