自民党派閥の政治資金パーティー券を巡る「裏金」疑惑で危機に瀕する岸田政権。特集『総予測2024』の本稿では、自民党派閥の行方や「ポスト岸田」の顔触れ、さらに野党の動向なども踏まえて、「ダイヤモンド・オンライン」の人気連載「永田町ライヴ!」の特別編として、政治コラムニストの後藤謙次が混迷必至の2024年政局を読み解く。
「混迷必至」──。2024年の政治の見通しを表現するには、これ以外の言葉が見つからない。日本の政治を支える屋台骨でもある自民党が大きく揺れる。
派閥主催の政治資金パーティーが東京地検特捜部の捜査対象となっているからだ。長く検察司法を取材するジャーナリストは「1月下旬召集の通常国会前の決着を目指して急ピッチで捜査が進む」との見通しを語る。自民党は言うまでもなく「派閥連合政党」。その派閥を舞台にした政治資金の流れに捜査のメスが入るとなれば、総裁である首相の岸田文雄の進退に関わる問題に発展してもおかしくはない。
疑惑の核心は自民党5派閥の政治団体が、政治資金パーティーの収入計約4000万円分を政治資金収支報告書に記載せず、裏金に回していたのではないかということにある。中でも不記載の額は最大派閥の安倍派が最も多く、以下二階派、茂木派、麻生派、岸田派と続く。パーティーで集めた政治資金を巡っては「キックバック(還流)」「裏金づくり」などが取り沙汰される。検察当局の「自民党包囲網」は徐々に狭まってきた。
問題が大きく報じられたのは23年11月中旬。しかし、岸田や自民党幹事長の茂木敏充ら執行部の危機意識は薄く、ようやく12月6日、参院を含めた最高幹部8人による幹部会合を開き、派閥のパーティー自粛を決めただけ。岸田はさらに翌7日、会長を務めてきた岸田派を離脱する意向を表明した。
「私自身が先頭に立って政治、党の信頼回復のために戦う」
しかし、その場しのぎの印象は拭えない。立憲民主党幹部が「自民党の溶解が始まったのではないか」と語るほど自民党を取り巻く事態は深刻だ。
次ページでは、自民党派閥が瓦解する可能性や野党連携の行方に加え、「ポスト岸田」として名前の挙がる常連の4人に加えて、新たに浮上した2人の実名など、日本の政局を見通す上で必読の情報をお届けする。