OKAN 代表取締役CEO 沢木恵太氏OKAN 代表取締役CEO 沢木恵太氏

 その上でリテンションマネジメントを重視したい。不況後は一定の経済成長が見込まれる。この苦境を耐え、立て直しを図りたい企業にとって、チャンスをつかむために最も必要になる資源は「人材」である。せっかく採用した人材や勤続年数の長い人材が流出してしまっていては、今後再起がかけられない。

 リテンションマネジメントの視点での、優先順位づけの方法として、弊社のハイジもひとつの手段である。

 ハイジは2月より完全無料化し、規模や業界にかかわらず、全従業員に無料でアンケートを実施することができるようになった。導入から最短1~2週間で組織課題を数値化することができるため、優先的に削減すべきコストを見極めることができる。

 離職につながるような間違ったコストカットを防ぐためにも、また、従業員を幸せにする責務のある立場としても、正しい経営判断が求められている。

売上拡大が困難だからこそ、顧客視点の活動が大事になる

Repro 代表取締役 平田祐介氏

 Reproは顧客データを活用し、 メールやプッシュ通知、ウェブやアプリ内ポップアップなどのチャネルを横断した付加価値の高いBtoCコミュニケーションを実現するカスタマーエンゲージメントプラットフォーム「Repro」を提供している。

 新型コロナ感染拡大の余波を受け、マーケティングコストの削減が各社ではじまっている。しかし、新規顧客獲得を目的としたデジタルマーケティングと既存顧客のLTV(Life Time Value。顧客が取り引きを終えるまでに支払う価値)向上を目的としたエンゲージメントマーケティングの予算は従来の水準を維持している印象である。

Repro 代表取締役 平田祐介氏Repro 代表取締役 平田祐介氏

 前者はマーケティングROI(費用対効果)の効果検証が定量的にできるからであり、後者はサービスのUXに組み込まれているケースが多く、いまだ改善の余地があるからだと考えられる。

 マーケティングも本質を見直す良いタイミングだ。売上拡大が困難になる局面だからこそ、顧客視点での新しいマーケティング活動の仕込みが大事だ。直近では、オフラインではなくオンライン、新規顧客ではなく既存顧客との「新たな接点」を創出するコミュニケーションの設計、の2点が重要であると考えている。

 マーケティング活動にかかる各種コストが大きく変動している(高かったものが安くなったり、その逆しかり)時期なので、しっかりと数値をモニタリングして資源を再配分することで、コスト削減と売り上げの維持は一定水準実現が可能である。