当社の例を出すと、予算を少額に設定したうえで新規施策の検討をした結果、マーケティングROIが非常に高い活動が生まれた。目的と制約を課した方が直接的な効果の出る新しいアイディアが生まれるので試してほしい。

 Reproでは、財務基盤が確立できていないスタートアップ企業向けに低価格で開始できる特別な料金プランの提供を開始し、支援している。制約があれば、創造性は高まるものだ。マーケティングの本質を大局的に考える良い機会と捉えることで、新たなコミュニケーションのあり方が生まれるのではないかと期待している。

有事でも求められるペーパーワーク、余力を持つことが重要

SmartHR 代表取締役・CEO 宮田昇始氏

SmartHR」は、人事労務の担当者を「手書き」「ハンコ」「役所に並ぶ」などのペーパーワークから解放するクラウド人事労務ソフトだ。新入社員がスマホから個人情報を入力するだけで、入社に必要な書類を自動作成。社会保険・雇用保険などのウェブ申請も可能。雇用契約や、年末調整、給与明細もスマホやPCだけで完結する。

SmartHR 代表取締役・CEO 宮田昇始氏SmartHR 代表取締役・CEO 宮田昇始氏

 さて、企業のコロナウィルス対策でまっ先に思い浮かぶのが、リモートワークや時差通勤など「働き方の変更」に関するものだろう。実施の意思決定は経営者が行うかもしれないが、ルールを整備し、実現させるのは他ならぬ人事労務の担当者だ。リモートワークや時差通勤に伴う勤怠ルールの変更や所定労働時間をどう担保してもらうか、リモート推奨の中で新入社員をどう受け入れるか……。整備する内容は多い。

 通常時でも、大量のペーパーワークで忙しい部署だが、日々変わる情勢を注視しつつ、上記のような事柄にも対応しなければならない。効率化できるところは効率化を進め、有事にも素早く対応できるよう、余力を持っておく必要がある。

 また社会保険手続きは、健康保険証の発行にも関わっており、止めることができない業務だ。特に感染症が流行している状況下で、健康保険証の発行が滞れば、新入社員はより不安に感じるであろう。しかし、旧来型の仕事の進め方では、書類の受け渡しや、ハンコの押印の為に、必ず出社する必要がある。欧州のように外出禁止令が出た場合には止まってしまう。

 ここでクラウド人事労務ソフトの出番なのだが、シェア第1位のSmartHRですら、市場の1%ほどにしか普及できていない。クラウド人事労務ソフトとしてSmartHRが世に出てまだ4年。数十年の歴史がある会計や勤怠と比較すると、その普及は遅れている状態だ。