2020年においても「手書き」「ハンコ」「役所に並ぶ」が主流で、アナログな人事労務を、デジタル化させていくことが我々の使命だ。

クラウド化・ペーパーレス化はBCP対策にもなる

freee 代表取締役CEO 佐々木大輔氏

 freeeは「クラウド会計ソフトfreee」や「人事労務freee」などを通じ、バックオフィス業務の効率化だけでなく、経営の可視化や課題解決の提案を行っている。日本発のSaaS型クラウドサービスとして、パートナーや金融機関と連携することでオープンなプラットフォームを構築している。

freee 代表取締役CEO 佐々木大輔氏freee 代表取締役CEO 佐々木大輔氏

 今回の新型コロナウイルス感染拡大をきっかけにリモートワークに移行を試みる企業も多いが、その中で、経理担当者などバックオフィス領域において紙文化が残っていることや承認システムの問題で移行がスムーズにいかないケースも多いと聞く。

 企業経営者はクラウド化やペーパーレス化をしておくだけで、普段の業務効率化が実現できるだけでなく、BCP対策にもなることを意識してもらいたい。

 また需要の落ち込みに対応できるよう、平時からのコスト体質の可視化及び改善も重要だ。

 今はデジタルツールによって経営状況の可視化の容易さもリアルタイム性も向上しているので、これを機に取り組みを開始するべきだ。政府の金融支援策の他、民間のオンライン資金繰り支援サービスも手軽に使えるものが登場しているので、資金面の課題解決に活用されたい。

 freeeでは新型コロナの影響により必要な資金繰りや助成金の解説、リモート勤務のやり方などを会計士や社労士による解説を交えた無料オンラインセミナーを開催している。確定申告期限の延長に伴い、確定申告期のfreeeサポートデスク営業時間延長も継続している。また、テレワークの実践方法をYouTube動画で公開するなど、スモールビジネスの事業継続に必要なサポートを実施している。

 クラウドサービスを提供し、ペーパーレスで社内業務を回すことをすでに実践できているfreeeのような企業であればこそ、全社原則在宅勤務を率先して実施し、ベストプラクティスを共有するとともに、ボトルネックを把握することが重要だと考える。例えば、すでに企業間での契約・押印のやり取りは社内業務をクラウド化できてもボトルネックになってしまうことがわかっている。これをクラウド化するには、大企業側の協力が不可欠で、積極的に働きかけをしていきたい。