「そのときに、自分が米国で普段読んでいるポール・グレアムやマイケル・モリッツのブログを日本の人たちはどうやって読んでいるのか気になって。実際に聞いてみたら、読まないか、誰かが翻訳してくれるのを待つと言うんです。この課題は解決したほうがいいんじゃないかと思い、急遽PeraPeraという翻訳サービスを立ち上げることにしました」(柴田氏)

ペット専門のSNSのIPは売却し、PeraPeraではEast Venturesや複数のエンジェル投資家から約4000万円の資金調達を実施した。しかし、2017年春頃にGoogle翻訳がAIを活用した高速・高精度の翻訳を可能にするというブログ記事を投稿し、これを目にした柴田氏は「これには勝てない」と感じ、再びピボットする道を探ることになる。

CBD業界を発展させれば、新たな文化を創造できる

その後は、ショート形式の動画共有サービス「Vine(バイン)」の創業者らが立ち上げた「HQ Trivia」や、日本ではグノシーが「グノシーQ」を手掛けていた波に乗っかるかのように“ライブクイズ”サービスを開発したり、その後はビデオチャット形式のデーティングアプリを開発したりしていたが、次第に「今の状態を続けていても厳しい」ことに気づく。

「米国で数年前に流行ったものを日本で展開する“タイムマシンモデル”は機能しなくなっていました。今は変化のスピードも早いですし、アプリは当たるか、当たらないかは“時の運”もあると思っていたので、一旦アプリの開発から離れることにしました」(柴田氏)

次は何の事業にするのか──アイデアを考える中で柴田氏は米国でD2Cブランドが盛り上がっていることも肌で感じていたが、それ以上にヘルス&ウェルネス業界が盛り上がりを見せており、それを牽引しているのがCBD事業であることを知る。

2019年の5月頃、ハワイ在住の知り合いから、「ハワイではみんなCBDのことを話すんだけど日本ではどうなの?」と問われ、日本のCBD事情についてリサーチしてみたところ、2018年10月頃にはエリクシノールがメディアで紹介されていることが分かり柴田氏は日本におけるCBD事業の可能性を感じた。

「米国のCBD業界の成長を間近で見てきたからこそ、日本でもきちんとCBD業界を発展させていくことができれば、新たな文化を創造できると思ったんです」(柴田氏)

日本市場における答えが「有機化学合成」だった

そして柴田氏は再び来日し、日本のCBD事情についてリサーチやヒアリングを重ねていく。結果的に日本でCBDを輸入するには、THCが含まれていないことを証明する「検査結果(COA)」と、茎と種のみから抽出されていることを証明する「宣誓書」、そして証明写真を貼り付けた「CBD製造方法」という3つの書類を提出する必要があることを知る。