また、大竹氏の発言に続けて、堀江氏はこう続ける。

「クラシルリテールプラットフォームを立ち上げるにあたって、たくさんの小売事業者と会って話をした結果、彼らが50年、100年かけて作りあげたノウハウとアセットを軽視していたことに気付きました。僕たちだけでどうにかできる話ではない・小売のビジネスモデルを次のステージへ進化させるべく、一緒に会社を立ち上げるくらいの気概で今回の事業に取り組みます」

「資本体力がある今だからこそ、僕たちが立ち上げ初期のリスクを負担するので、5年後、10年後の未来のためにぜひ一緒にやってほしい。そんな思いです」(堀江氏)

注文までの平均所要時間は30分、体験をより良いものに

新型コロナウイルス感染拡大の影響によって、ネットスーパーの需要が急激に高まっている。大竹氏も「小売事業者のオンライン化、デジタルシフトに対する興味、関心、本気度はすごく高い。どの小売事業者に話を聞いてもネットスーパーをやるつもりがないと答える人はほとんどいません」と語るが、実際に何をしたらいいか分からない状況にあるという。

「具体的にネットスーパーをどうやって始めるかを模索している段階なので、そこは僕たちがしっかりお手伝いして、逆に小売事業者が持っているアセットの価値を再認識してもらう。例えば、良い立地に店舗を持ち、毎日商品を仕入れて棚に補充されて並んでいること自体がすごい価値なんです。僕たちがそれをやろうとしても無理です。まずその価値に気づいてもらって、次にその価値をどうやってオンラインでも同じようにお客様に提供していくか。そういう順番で話を進めていけたらと思っています」(大竹氏)

 

具体的な社名は明かされなかったが、すでに複数の小売事業者と話し合いを進めており、クラシルアプリのレシピを通じて商品が購入できるような連携の仕組みや、注文のためのデータベース構築を進める。

「ネットスーパーは各店舗あたり商品数が1〜2万点ほどありますし、商品の旬や賞味期限によって更新も頻繁にかかります。そこをマネジメントする仕組みがネットスーパーでは重要なので、素早くPDCAを回しながら、その仕組みを構築できるようにしていければと思います」(大竹氏)

「今のネットスーパーは注文を完了するまでの平均所要時間が30分で、平均ページ遷移数が50ページもあるほど注文するのが大変なんです。料理は意思決定が複雑で家に何が余ってるのか、その食材は安いのか、カロリーはどれくらいかなど、いろんなことを考えてレシピを決めないといけないですし、さらには材料も要素分解して買わないといけない。そこも大きな課題だと思っているので、小売事業者と一緒に、世界一便利なユーザー体験をつくらないといけないと思っています」(堀江氏)