「結局、最後は人が情報を漏えいさせている。さらに、それを防止するために従業員教育をどれだけ丁寧に行ったとしても、そこにも限界はある」(結城氏)

 調べると、繰り返し社内の情報を流出させてしまう社員は、どこか精神的に病んでいる部分があるケースが多かった。とあるクライアントの担当者からは「従業員本人のメンタルケアや職場環境を改善しなければ、これ以上はどうにもならない」と言われた。別の企業では「従業員のメンタルヘルスケアに対応したサービスがあればいいのに」と言われ、メンタルヘルスケアのニーズに気づいた。

ストレス量の原因を見つけて対策するツール

 設立当初のラフール(当時の社名はヒューマンリソースマネージメント)では、最初はメンタルヘルスケアに関する会社研修や電話相談、カウンセリングなど、アナログなサービスを提供していた。過去の業務で助成金に関するノウハウを持っていた結城氏は、助成金との組み合わせでサービスを提供開始。介護施設や医療機関など、従業員の精神障害からの労災が多い業種で特にニーズがあったそうだ。

 2015年12月、法律で従業員数50人以上の事業所に対してストレスチェックが義務化されたがその時点で、ラフールにはストレスに関するデータが(アナログではあるが)蓄積されていた。厚生労働省が提示したストレスチェックの調査票(職業性ストレス簡易調査票)の質問は57項目。実はこの57項目では、ストレスの「量」はわかるが、ストレスを生む「原因」がどこにあるまでは分からず、対応も分からないというものだった。ストレスチェックの義務化後、この57項目のチェックリストを単純にオンライン化した製品は大量に提供されたが、具体的な従業員のメンタルヘルス対策については各社とも手探り状態だった。

「ラフールはアナログな手法で、メンタルヘルスど真ん中のサービスを提供していた。だから他社のEAP(従業員支援プログラム)と比べると、問題を抱えている従業員に何を支援するべきか、対策がわかっていた。また他社では、システム開発は開発会社へ外注するというところが多かったのだが、我々は自社開発で安価に提供することが可能だった」(結城氏)

 ラフールでは、厚労省の示した57項目の質問にに加えて、従業員の特性を確認するための10項目を加え、さらに勤怠データ連動の機能を備えるストレスチェックサービス「priskHR(プリスクエイチアール)」を開始した。ストレス量だけでなく、ストレスの原因となる課題を見つけやすく、対策を立てやすくする仕組みだったが、当初顧客から「そこまで多機能である必要はない」と不評だった。