「コンサルタントは、長期的に支援する人がいる方が儲かるのかもしれないが、アブセンティズムは起きてしまったことへの対処に過ぎない。それに対して、こうした問題が起こらないようにする予防の対策が『プレゼンティズム』への対策だ」(結城氏)

 プレゼンティズムとは、職場に出勤はしているが、何らかの健康問題によって生産性が下がっている状態を指す。米国の企業での調査だが、従業員の健康関連コストの全体構造を見ると、アブセンティズムによるコストよりプレゼンティズムにより生じるコストの方が断然大きいという報告もある。

従業員のプレゼンティズムを可視化する「ラフールサーベイ」の管理画面(ラフールのプレスリリースより)従業員のプレゼンティズムを可視化する「ラフールサーベイ」の管理画面(ラフールのプレスリリースより)

 ラフールサーベイでは、プレゼンティズムを可視化することができ、調査から分析、対策までを一貫してサポート。職場のメンタルヘルス課題に対して「事前の予防」と「テクノロジー」を掛け合わせて対処するサービスになっている。

 結城氏は「他社EAPとは棲み分けが生まれてきたので、協業関係に移りつつある」と話している。「紙のアンケートがまだ存在するような世界なので、それをデータに置き換えるだけでも需要はある。さらに分析が求められる場面も多くなってきた。以前は分析のみの対応は断っていたが、最近では他社との提携によりサービスを提供するようになった。逆にこちらが提案した時点で、すでに休職者が多い企業に対して我々ができることはあまりない。そういった場合、他社のコンサルティングなどを紹介している」(結城氏)

サービス開始から4カ月半で200社が導入

 ラフールサーベイは2019年2月の提供開始から4カ月半で顧客を200社まで増やした。導入企業はローソン、DeNA、エン・ジャパン、フォーシーズ、大和ハウスなど。「100~150人規模の企業をターゲットにサービス設計していたが、意外と大手企業の利用が多かった」と結城氏は話している。

 結城氏は大手による利用が予想以上に多かった理由を次のように考えている。「ストレスチェックについては、義務化されたのでとりあえずシステムを入れたが、3年経って、その後レポートも上がってこないことから経営者が、現況を確認して『こういうものを求めているわけではない』となったのではないか。彼らは見える化、分析できなければ、データは資源として意味がないと感じている」(結城氏)

 ラフールでは「競合サービスが1000人以上の規模を対象にしていたので、それより小規模をターゲットとしていた」(結城氏)という。しかし従業員満足度や各種調査など、別々に費用をかけてきた企業が「横串で分析できないのは無駄なのではないか」と気づき始めたことで、大企業にもラフールサーベイが浸透するようになったのではないかと結城氏は見ている。