「世の中に何かが流行してから『自分はその技術を研究していた』と言うのは格好悪いじゃないですか。自分がそれを世の中に出したわけでもないし、研究していたものと実際に世の中に出てきたものも、姿は違います。だから本当に『(前述の3人のように研究を)やった』という人が会社を立ち上げないといけません。今、そういう考え方は日本の研究者の間で共有されていません」(落合氏)

調達した資金をもとに研究者人材を採用

 PDTでは今回調達した資金をもとにエンジニアを中心にした人材採用を進める。またオフィスの移転や空間開発型事業のテスト環境などの設備投資を進めるとしている。

「PDTは研究者が(アカデミックな世界から出て)ビジネスできる場になりつつあると思います。うちの研究室の人間や、博士号を持つ研究者も入社します。今が入社しどきです(笑)。アカデミックの苦境を考えれば、スタートアップを作りながら研究を続けること、人を集めていいチームを作ることは、研究者のキャリアとして『アリ』です。論文がジャーナルに通ることも文化的に重要ですが、違うアプローチだってあると思っています」(落合氏)