マックス・ベイザーマン教授マックス・ベイザーマン教授  (C) Onur Orhon

ハーバードビジネススクールのマックス・ベイザーマン教授は、50歳のときに自身の働き方を見直し、いくつかの仕事をやめた。無駄なモノも仕事もそぎ落そうと考えたという。どのように「やらない仕事」を仕分けたのか、人生後半の生き方をどう考えたのか、話を聞いた。(聞き手/作家・コンサルタント 佐藤智恵)

>>前編『ハーバード大教授が「税金の無駄遣い」と断言、アマゾンの第2本社誘致で全員“損”した理由』を読む

ハーバード大教授が50歳でやめた仕事
自分に問いかけた「二つの質問」とは

佐藤智恵(以下、佐藤) 著書『BETTER, NOT PERFECT すこしでも確実に社会に役立つ選択をする』では、政府による税金の無駄遣いだけでなく、個人の時間の無駄遣いをなくす方法についても詳述しています。ベイザーマン教授は、今から約20年前、50歳の誕生日に、自らの生き方、働き方を見直し、いくつかの仕事をやめることを決断したそうですね。なぜ、そのタイミングで自分の時間の使い方を変えようと決めたのでしょうか。

マックス・ベイザーマン(以下、ベイザーマン) 毎年、1月1日には「新年の抱負」を書きますよね。それと同じように、私にとって50歳の誕生日は、ある意味、人生のターニングポイントだと思ったのです。そこで、これまでの働き方、時間の使い方を根本から見直し、人生の後半は、もっと社会に役立つために時間を使おうと決心しました。

 それまでの私は、学内外の多くの仕事を引き受け、どちらかといえば長時間働く傾向にありました。ところが人生後半に差し掛かり、そのような働き方は長く続けられないことに気づいたのです。

 若いときは、「こういうことを実現したい」「こういうものが欲しい」といった目標を掲げ、足し算の人生を送ってきましたが、50歳をすぎてからは、無駄なモノも仕事もそぎ落とし、より社会のために役立つことに時間を使うことにしました。

佐藤 どのように「続ける仕事」と「やめる仕事」を仕分けしたのでしょうか。