ハンドドリップのコーヒーは
日本ならではのたしなみの文化

 コーヒーを抽出する機器には、コーヒーメーカー、ハンドドリップ、サイフォン、エスプレッソマシンなどがあるが、小坂田さんによると、違いは「さまざまな調理方法のようなもの」

 お湯につけたコーヒー粉がゆっくりと下に落ちていくハンドドリップは、できあがるまで数分を要するが、エスプレッソマシンは圧をかけることができるので、20〜30秒で凝縮したコーヒーができあがる。

「ハンドドリップでできるコーヒーの味わいがオレンジジュースだとすれば、エスプレッソマシンのものはオレンジのあめと思っていただければ分かりやすいのではないでしょうか」

 ハンドドリップが生まれたのはヨーロッパだが、日本で特に愛用されている。海外でもここ最近になってようやく広がってきたという。

「喫茶店のマスターが時間をかけて丁寧に淹れるコーヒーをたしなむ。漂ってくる香りやポタポタと落ちていく音さえも楽しむ。日本のコーヒー文化の美学のようなものが詰まっているような気がします」

 バリスタが淹れるコーヒーに少しでも近づけたい、という人のために、小坂田流のおいしい淹れ方を教えてもらった。

用意するものは、下記の通り。

・ドリッパーとフィルター
・コーヒーを落とすサーバー
・スプーン
・スケール(注いだお湯の量を測る)
・温度計(できれば)
・中挽きのコーヒー粉:15g
・お湯:240〜250g(90℃)
・ケトル(できるだけ注ぎ口が細いもの)

1 フィルターをドリッパーにセットし、サーバーに載せてスケールの上に置く。
2 コーヒー粉を入れたら、ならして平らにする。

一癖バリスタが実践するコーヒーの淹れ方、朝の1杯が見違える!粉の大きさは均一にしたい  Photo by F.T.

 

3 15秒かけて、まずは70gのお湯をコーヒー粉全体に当たるように少しずつ注ぎ入れる。フィルターにはお湯がかからないようにする。

一癖バリスタが実践するコーヒーの淹れ方、朝の1杯が見違える!焦らず少しづつ注ごう  Photo by F.T.

 

4 お湯がまだ残っている段階で、スプーンで粉を素早く軽く混ぜる。浅煎りの場合は混ぜたほうが味が出やすいという理由から。深煎りの場合は味にえぐみが出るので混ぜない。なお、深煎りの場合は膨らんでくるが、浅煎りはガスを持っていないのであまり膨らまないのが特徴。

一癖バリスタが実践するコーヒーの淹れ方、朝の1杯が見違える!浅煎りの場合は混ぜる、深煎りの場合は混ぜない  Photo by F.T.


5 フィルターの中のお湯が少量になったら、30秒かけて120gのお湯を少しずつ注ぎ入れる。フィルターの縁にできる「山」に触らないのが通常のやり方だが、全ての粉からまんべんなく成分を抽出するため、お湯を注いで「山」を崩し入れる。

一癖バリスタが実践するコーヒーの淹れ方、朝の1杯が見違える!縁にできる「山」にもお湯を注いで大丈夫  Photo by F.T


フィルターの中のお湯が少量になったら、15秒かけて残りのお湯を注ぎ入れ、落ち切るまで待つ。
上と下の濃度を均一にするために少しかき混ぜる。

「できあがりの時点で67℃くらいになっているはずです。お好みでさらにかき混ぜて62℃くらいにまで温度下げていくと、フルーツのような香りがより出てきます。温度によって変わる香りもぜひ楽しんでほしいです」