ラッキンコーヒーとコッティコーヒーの拡大

 ニュースソースは、世界のコーヒー産業関連の情報を提供するプラットフォーム「ワールド・コーヒー・ポータル」の調査によるものだ。その躍進を大きく支えたのは、1万3000店あまりの店舗数を擁する中国最大のコーヒーチェーン・瑞幸珈琲(ラッキンコーヒー)と中国の新興カフェチェーン・庫迪珈琲(コッティコーヒー)だと説明されている。

 瑞幸珈琲は、3年前に粉飾決算問題で米証券市場から追放された。詳しくは筆者が書いたリポート『中国で恐れられる『上場企業の殺し屋』と呼ばれる投資家の正体』(2020年4月9日)を見てほしい。当時、「中国でスタバをも凌駕(りょうが)するコーヒーショップの仮面躍進」に問題を感じ、正面から切り込んだ記事だった。

 一方、庫迪珈琲は規模こそ瑞幸珈琲に及ばないが、成長スピードは驚異的なものだ。同社は22年10月に中国1号店を開業して、1杯9.9元(約200円)という低価格で中国のコーヒー市場に進出した。23年8月8日、同社は、わずか10カ月で店舗数がすでに5000店を突破し、中国全土をカバーするコーヒーブランドになり、世界5位の規模に食い込んだと対外に発表した。

 庫迪珈琲は、創業して間もない時点からすでに日本、韓国、インドネシア、カナダへの進出を発表していた。後に、ドバイ、ベトナム、タイ、マレーシアなどの国々にも出店する計画を作成した。

 実際、23年8月、庫迪珈琲は韓国のソウル市江南区にはじめての海外店を開き、その海外進出をスタート。さらに、日本1号店となる東大赤門店は8月26日にオープンし、続けて池袋店、早稲田大学店がオープンした。インドネシアでは、23年に少なくとも400店舗を開くと鼻息が荒い。

 10月16日には、カナダのトロントにあるFairview Mall店がオープンし、庫迪珈琲の6000番目の店舗となった。この開店スピードを見ると、平均して毎日16店舗ほどの店がオープンしている計算になる。しかも、これまでの閉店数はわずか21店で、閉店率は0.4%に過ぎないという。

 庫迪珈琲の開店スピードや経営方針などを見ると、瑞幸珈琲のやり方を連想してしまうところが多い。それも実は無理もない話だ。