後発薬(ジェネリック医薬品)を中心に医薬品の供給不安が続く中、医薬品製造関連企業の集積地である北陸が能登半島地震に見舞われた。今回の地震によって空前の薬不足がさらに深刻化する恐れはあるのか。連載『日本経済を直撃 能登半島地震』の本稿では、業界関係者への取材を基に、今後の医薬品供給に与える地震の影響を分析する。(ダイヤモンド編集部 野村聖子)
薬不足のさなか起こった能登半島地震で
医薬品製造関連の集積地・北陸が被災
いまや国内で処方される医療用医薬品の約8割が後発薬(ジェネリック医薬品)だ。しかし2021年以降、その後発薬の大手メーカーで品質不正が続出。行政処分による出荷停止が相次ぎ、医療現場では医薬品の供給不安が依然続いている。
2023年12月の日本製薬団体連合会(日薬連)の調査では、薬価収載されている医薬品のうち、全体の2割超、後発薬に限れば3割超が出荷量の制限、もしくは供給停止となっていることがわかった。
そんな異常事態下で起こった元日の能登半島地震の被災地は、よりにもよって日本有数の医薬品製造関連企業が集積している北陸地方である。今回の地震によって空前の薬不足がさらに深刻化する恐れはあるのか。
現地に製造・物流拠点を有する企業や薬業組合に問い合わせたところ、「稼働再開に時間を要するが、常に数カ月分の在庫があり、直ちに供給に影響はない」と回答した企業がほとんどではあった。
しかしながら、やはり一部の薬が出荷調整となっているほか、稼働停止が長期化するなど今後の状況次第では、供給が不安定になる可能性がある薬もありそうだ。
次ページでは、能登半島地震の製薬企業への影響と、出荷調整中で供給が危ぶまれる薬のリストをまとめた。