マイナス金利解除へ環境は整うが、
4月決定会合まで待つ可能性
日本銀行は1月22~23日の金融政策決定会合で政策の現状維持を決めた。
市場にはひところ、昨年12月やこの1月の会合でマイナス金利を解除するとの見方もあった。そうならなかったのは、能登半島地震の影響というよりも、日銀が当初から想定していたマイナス金利解除の条件が、なお十分にそろっていないからだ。
マイナス金利解除の条件は、2%物価目標の実現が見通せる状況になることだ。この点、確かに物価だけを見れば、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は2023年12月まで28カ月連続でプラスとなっており、日銀が目標とする2%も21カ月連続で超えている。
ただし、日銀が重視するのはあくまで「賃金の上昇を伴う物価の上昇」であり、当面の関心は賃金上昇の持続性だ。昨年の春闘では、大方のエコノミストの予想を上回る3.6%と、30年ぶりの大幅な賃上げが実現した。今年の賃上げが同程度、あるいはそれ以上となるかどうかがポイントだ。
客観情勢は悪くない。上場企業の24年3月期は最高益の更新が確実だ。コロナ禍からの経済再開に加え、円安が追い風となり、コスト増加分の価格転嫁も順調に進んだ。一方で人手不足がいよいよ深刻になりつつあり、人材確保のためには、従業員のはっきりした待遇改善が不可欠になってきている。
こうした客観情勢を考えれば、次の3月会合でのマイナス金利解除の可能性もゼロではないが、日銀の判断は4月以降に持ち越される可能性が高い。