絶望から一転、ハルビン市がピンチをチャンスに変えた

 そんな中、黒竜江省の省都・ハルビン(哈爾濱)市は23年の年末から突然、人々の絶望感を一掃するかのように爆発的に変身し始めた。きっかけは、とあるイベントにやってきた観光客のやや理不尽なクレームだった。

 23年12月18日に、ハルビン氷雪大世界が始まった。この氷祭り(中国語では「哈爾濱氷雪大世界」)は、1985年に始まったハルビンの冬の風物詩だ。世界三大雪祭りの一つに数えられ、観光客が200万人を超えた年もある。祭りの会場には氷の滑り台や乗り物など40余りのアトラクションが設置されているが、そのうち3分の1は子ども用の滑り台や氷上ブランコなどで無料にしている。

 ところが思わぬことが起きた。初日から3時間足らずで入場者が4万人に達し、入場の待ち時間があまりにも長すぎて入場券の払い戻しを求めた人まで出たのだ。

 ハルビン市観光当局は、このやや理不尽なクレームとも思われる、入場券の払い戻し要求にすばやく応対しただけではなく、メディアを通して正式におわびをすると同時に、速やかに改善策を打ち出した。

 この誠意ある応対は人々の絶賛を受け、ハルビン氷祭りも一躍、中国全国の注目の的となり、より多くの観光客が南方からハルビンへ殺到してきた。この意外な宣伝効果に感激したハルビン市民は、氷と雪に好奇心を持つ南方の観光客を「南方小土豆(南方から来たミニポテトちゃん)」というニックネームで呼び、全市総動員と言ってもいいほどの市民参加型の歓迎体制を作った。

 そこへさらにハルビンの知名度を一気に爆発させたかのように高めた出来事が起きた。