写真:デスクワーク中に居眠りする中年男性のイメージPhoto:PIXTA

時代に取り残された「働かないおじさん」は、実はどこの組織にもどの世代にも存在する「2割の不活性人材」だった。人事の専門家に、働かないおじさんが生まれてしまう仕組みをひもといてもらうとともに、彼らに辞めてもらったり、異動してもらったりすれば解決するほど単純ではない、シビアな現実を聞いた。そこで、働かないおじさんたちとどう接すべきか、そしてどうすれば復活するのかなど、不活性人材への処方箋も探る。(ライター・編集者 井澤 梓)

サントリーHD・新浪社長が
「45歳定年制」を提言したことも

 社内の「働かないおじさん」に悩まされるビジネスパーソンは多い。同僚であればまだしも、自らの部下に配置された場合は、自身の評価にも関わる死活問題だ。

 サントリーホールディングスの新浪剛史社長が提言した、45歳定年制が炎上含みで話題を呼んだことがあるが、この提言からも、経営にとっても定年が近いシニア人材やミドルシニア層の活用が重要なテーマであることは間違いない。

 もっとも、日本には高年齢者雇用安定法という法があり、事業主が定年を定める場合も、定年年齢は60歳以上としなければならない。だが、デジタル化やデジタルトランスフォーメーション(DX)が進む企業で、業務についていけなくなった「おじさん」社員が、各社で続出している。

 管理職となった際、部下に「働かないおじさん」がいた場合、一体どのように対処すればいいのか。マネジメントで「できる社員」に変化させることはできるのか。人事経験20年以上という経歴を持つ人事のプロで、採用管理システム「sonar ATS」を提供するThinkings執行役員CHRO(最高人事責任者)の佐藤邦彦氏に聞いた。