2割の不活性人材の中には
仕事を変えた方がいい人も

 では、具体的にはどうすれば、2割の不活性人材をうまくマネジメントし、彼ら彼女らのパフォーマンスを改善させられるのだろうか。

「2割の不活性人材の中には、そもそも入る企業や就く職種でミスした人もいます。今の仕事が“向いていない”という状態です。その場合は、本人が早めに気付き、仕事を変えるに越したことはありません」

 しかし「仕事を変える」といっても、大手の人気企業に苦労して入った場合は特に大変だ。給与水準が高く、待遇もいい。活躍できていないのに、年功序列で昇給・昇進することもある。

 加えて周りから勤務先の社名でチヤホヤされることもある。転職して今以上の格の会社に入ることも難しいとなると、動けない人はたくさんいるだろう。実際に、業界を代表するような大手企業でも、不活性人材を多く抱えているという。

「ゆとりがある企業だと、ある程度諦めて許容しちゃえますからね。加えて大企業の場合、タイムリーな異動を行うことも難しいため、ミスマッチな状態が長く続いてしまうことがあります。早めに環境を変えられなかった人は居座るしかなく、働かないおじさんコースまっしぐらなんです。自分自身があまり評価されていないと理解していても、なかなか行動を起こせず時間が経過してしまう。すると転職も難しくなります」

「失われた30年」を経た現在、日本企業に余裕がなくなったことに加えて、能力主義や職種別採用など、合理的な人材戦略を取り入れたこともあり、不活性人材の隠し先がなくなってしまったのだ。