パフォーマンスが悪い人材は
世代を問わずに存在する
「働かないおじさん」について、佐藤氏は「目立ってしまうだけであって、働きが悪い社員は、どの世代にもいます。それなのに『働かないおじさん』というワードで中年男性だけを目立たせることは、おじさん代表としても違和感を覚えますね」と話す。
「働かない、結果が出ない。このようなパフォーマンスが悪い人材のことを、最近『不活性人材』とも呼ぶようになりました。『2:6:2の法則』と呼ばれるように、世代問わず不活性人材は一定数現れるんです。みなさんも、同僚や上司の顔が思い浮かぶかもしれません」
2:6:2の法則とは、組織や集団は「優秀な2割」と「平均的な6割」、そして「不活性人材2割」の割合になるというもの。下位20%の、課題を抱えた社員というのは、どんな組織であっても一定数現れてしまうのだ。
ではなぜ「おじさん」だけが目立ってしまうのか。
仕事ができないのが、入社したてなど若い世代であれば、「経験を積めば成長するはずだ」「他の部署に異動させてみよう」と、救いの手が差し伸べられやすい。加えてこのご時世では、ハラスメントになることを恐れて、きつく指導をせずに、ぬるま湯に放置する管理職もいるだろう。
一方でベテラン世代が「できない」と、「長く会社にいるのになぜこんなこともできないのか」と、白い目で見られたり、諦められたりしてしまう。
「シニアになると、自分より年下の社員が昇進して上司になることも増えます。若い世代よりもできないことが目立ってしまうんです。管理職の椅子は限られています。かつて余裕があった頃の日本企業では、『担当部長』とか『主任』など、役職を増やすことで、働かないおじさんに最大限配慮してあげていた。ところが日本企業も実力主義になってきたことで、今まで以上に彼らの存在が目立つようになってしまいました」(佐藤氏)
つまり、今はまだ目立っていないだけで、20〜30代の社員の中にも、未来の働かないおじさん予備軍が潜んでいるのだ。