堅調なオフィス市況や激増するインバウンドを背景に商業、レジャー施設なども復活し、不動産業界は絶好調だ。財閥系不動産デベロッパー3社がいずれも3期連続で過去最高益を達成する見通し。そんな中で、業界序列に変化が起きようとしている。特集『総予測2024』の本稿では、三井不動産、三菱地所、住友不動産の財閥系3社が24年に迎える“明暗”を解き明かす。(ダイヤモンド編集部 堀内 亮)
住友不動産が最終利益で
三菱地所を抜き2位へ
不動産業界にとって、2023年は絶好調な一年といえた。23年5月に新型コロナウイルスが感染症法上の5類へ移行したことに伴い、人流が回復。激増するインバウンドも後押しし、ホテルやレジャー、商業施設が復活した。またオフィス回帰の動きもあって市況は堅調だった。
こうした追い風に乗って三井不動産、三菱地所、住友不動産の財閥系3社は24年3月期決算で、いずれも3期連続で過去最高益を更新する見通しだ。ここで、序列の変化が表れる。財閥3社でほぼ万年業界3位だった住友不動産が、最終利益で三菱地所を抜いて2位に躍り出るのだ。
この序列の変動は、決して“瞬間最大風速”ではない。三菱地所が業界3位に定着する危機を迎えているのだ。24年は、業界序列の先行きを占う試金石の年となりそうだ。
次ページでは、三菱地所が業界3位に定着するかもしれない理由を解き明かす。三菱地所が頼りにするビジネスモデルが曲がり角を迎え、三井不動産と住友不動産との差が開くかもしれないのである。