インフレ率は3%台半ばまで鈍化だが
消費や雇用、ローン残高は堅調
米国経済を巡る市場の大きな関心の1つは、FRB(米連邦準備制度理事会)がいつ、どのようなペースで政策金利を引き下げるかだが、ここに来て状況が変わってきた。
数カ月前は、過去の金融ショック時のような大幅かつ急速な利下げではなく、経済にとってちょうどよいレベルの金利に向け、FRBは徐々に利下げを進めるというのが、市場コンセンサスだった。
しかし、このところ公表された経済指標は良好で、例えば、1月分の企業の業況判断は製造業、サービス業ともに事前予想を上回るペースで回復したほか、同月の雇用統計は前月から31万7000人増と、過去の景気回復期の月間平均を上回る増加を示した。
一方でインフレ率も減速ペースが和らいできている。中には、「もしかしたら今年、FRBは利下げできないのではないか?」という憶測も、少数ではあるが聞こえてくる。
「3月利下げ」が支配的だった初回の利下げの時期についても、非常に流動的となってきた。
インフレ率は3%台前半まで鈍化し、このままの減速ペースが続けば、今年後半には2%台には安定的に入れそうなのだが、目標達成の最後の1歩――ラストワンマイル――はFRBにとって楽な1歩ではなさそうだ。