ウォーキングをする時間帯は、できれば朝よりも夜がいいでしょう。朝は交感神経が高まる時間帯なので、血管が収縮し、筋肉が硬くなっています。そのため、ケガをするリスクが高まります。

 副交感神経が優位になる夕食後から、寝る1時間前までの間にウォーキングをすることで、全身の血流がよくなり、眠りの質の改善や、肩こり、腰痛の軽減にもつながります。

 歩き方は「ゆっくり」を意識して、「1、2、1、2」と一定のリズムで歩くことがポイントです。

 たまにウォーキングが苦しいとおっしゃる人がいますが、明らかにオーバーペースです。苦しくて続けられないのなら、苦しくないペースで歩けばいいのです。

 のんびり散歩しているような感じになるかもしれませんが、それでかまいません。そのうち筋力も心肺機能も上がって、少しずつ速く歩けるようになります。

書影『老後をやめる 自律神経を整えて生涯現役』(朝日新聞出版・朝日新書)『老後をやめる 自律神経を整えて生涯現役』(朝日新聞出版・朝日新書)
小林弘幸 著

 呼吸も「ゆっくり」を意識するようにしてください。ゆっくり呼吸をすれば、自然と深い呼吸になります。4秒かけて鼻から吸い、8秒かけて口から吐くのがおすすめの呼吸法です。

「ジョギングはどうですか?」と聞かれることもよくあります。楽しんで走っている方には申し訳ありませんが、私としてはあまりおすすめしていません。

 もちろん、長年、習慣的にジョギングをやってこられた方は別ですが、ジョギングは運動量が多いため、どうしても呼吸が速く、浅くなり、副交感神経の働きが低下してしまうからです。

 加齢で自律神経が乱れている方には、下がりぎみの副交感神経の働きをさらに下げてしまうジョギングよりも、深い呼吸で血流をよくし、体のすみずみまで酸素と栄養を届けることができるウォーキングがぴったりなのです。