昨年3月、米地銀シリコンバレー銀行(SVB)が破綻し、ここ数年で最大の米銀行危機が幕を開けた。その数カ月後、米連邦準備制度理事会(FRB)は大手金融機関の規制方法を大幅に見直す案を示した。これらの動きは、一般に考えられているよりも関連性が低い。FRBの提案は「バーゼル3最終化」として知られる。これは2008年の金融危機を受けて10年以上前に初めて概要が示された世界的な銀行改革を完全に実施することを意味している。この改革により、銀行の資本水準は大幅に引き上げられ、リスクの高い住宅ローンへの賭けなど、金融危機の核心となった多くの行動が抑制された。「バーゼル3最終化」案では、SVBのような中堅銀行を含む、より多くの銀行が基準強化に直面することになる。だがこの最終規則は、SVB、シグネチャー銀行、ファースト・リパブリックという米地銀が破綻した最も顕著な原因のいくつかに直接対処するものではない。結局のところ、SVBで最も問題となった資産の一部は低リスクの米国債だった。ファースト・リパブリックで問題となったのは、リスクの低い「スーパープライム(信用力の高い層)」向けの住宅ローンであって、不安定な「サブプライム(信用力の低い層)」向けの住宅ローンではなかった。