「積極的な同意がなければ、それはNOなんだ」

「自分の体のことは自分で決める」「する/しないを自分で決めていい」「他人と異なる意見であっても自分の意見を持ってもいい」ということです。

 この権利を「身体」という観点で取り上げた世界人口白書2021(国連人口基金発表)て゛は、

・性交渉を断ることができる
・避妊するかを自ら決められる
・健康管理を自ら決定できる

 という3点が守られているかどうか? との問いが投げかけられ、その結果、特に女性の体の自己決定権がいかに世界的に侵害されているかが明らかになりました。

 女性であっても男性であっても、ちょっとした性的なからかいや、いたずらのつもりで体に触れることが日常的に繰り返されると、どこに良い/悪いの境界があるかがぼやけてしまうこともあります。そして、最悪の場合はそれがレイプや性暴力に発展していくこともあり、その頻度は多くの人の想像を遥かに上回るものなのです。

 そのような事態に行き着かなくとも、体を同意なく触る痴漢や言葉のセクシャルハラスメントによる精神的影響もまったく無視できるものではありません。

 嫌な場合にはっきりと「NO」と言えたらいいですが、上司と部下、教師と生徒、コーチと選手、先輩と後輩といった上下関係がある場合、あるいは「怖い」という感情があるときに、「嫌だ」と言いにくいこともあります。

 そこでスウェーデンでは“Yes means yes!”という「積極的な同意がなければ、それはNOなんだ!」との考え方を性交同意法に取り入れました。

 人と人が気持ちよく付き合うには、バウンダリー(境界線)という概念を持っていることも大切です。

 人によってここまではいいけれど、その先は不快に感じるという、肉体的にも精神的にも守りたい境界線が存在します。

 そこを他人が越えてきてもいいか/ダメなのかを決めるのは体の持ち主であるその人自身です。自分の境界線も、他人の境界線も目には見えませんから、「越えてもいいですか?」と確認し合うことが大切なのです。