銀行業界は「金利のある世界」に突入しようとしており、業界環境が大きく変わりそうだ Photo:DOL銀行業界は「金利のある世界」に突入しようとしており、業界環境が大きく変わりそうだ Photo:DOL
*本稿は、現在発売中の紙媒体(雑誌)「息子・娘を入れたい会社2024」の「親子で考える キャリアを実現する業界・企業選び」を転載したものです。

「自己分析・自分探し」を通じて、新卒就職や転職といった人生の各局面ごとに「会社・職業選び」は必要となる。そんな仕事人生の全体像を描く上で欠かせないのが、業界・企業研究だ。就活生に向けて、注目の21業界における最新トレンドや企業が求める人材像について、企業分析のプロへの取材を基に解説する。第2弾は「新しいビジネスを創る業界」として、「銀行業界」を取り上げる。(取材・文/ダイヤモンド・ライフ編集部 大根田康介)

 マイナス金利政策が2016年に導入されたが、24年4月からはそれが解除される見通しだ。銀行業界は「金利のある世界」に突入しようとしており、業界環境が大きく変わりそうだ。そんな中、銀行の主力事業である、企業や個人から預金を集めて別の企業や個人に貸し出す「預貸業務」の収益は回復傾向になるだろう。

地銀の人材に必要な 
事業性評価の能力

 ここ10年間、メガバンクを中心に連結決算と単体決算の差が広がった。要は、関連会社の事業が成長してきたのだ。例えば、資産運用や投資信託の販売などの手数料収益が増えた。投資銀行部門ではM&A(合併・買収)なども手掛けている。子会社が海外進出して預貸業務などをするケースもある。

 こうした分野に興味があるなら、メガバンクは学べることが多い。海外との取引もあるため、できる限り英語は習得しておきたい。

 地方銀行を見ると、複数行でのホールディングス化など統合再編が進み、グループ規模が拡大している。地銀は業容を拡大しようという意気込みが強く、傘下にスタートアップ企業へ投資するベンチャーキャピタルを新設する動きも出てきた。適材適所を実現するため、行員は異動を希望すればかないやすい環境になってきた。

 地銀の経営環境は、地元の経済動向に左右されやすい半面、地元に貢献しやすい仕事でもある。

 これまで中小企業への融資基準は、経営者保証や不動産担保が中心だったが、今後は金融庁の方針で経営者保証に依存しない融資の仕組みができようとしている。

 そのため、地銀の人材に今求められているのは「財務諸表といった定量情報だけでなく、今後の戦略や知的資産といった定性情報も考慮に入れた事業性評価の能力だ」(ピクテ・ジャパンの大槻奈那氏)という。