ECB利下げ開始「6月」で年内引き下げ幅は0.75~1%が有力、賃上げ鈍化のデータが焦点Photo:PIXTA

ユーロ圏のインフレは、鈍化傾向にある。高止まりしているサービス価格の上昇率の低下がECB(欧州中央銀行)の利下げ開始時期を左右する。サービス価格動向に影響する賃上げ率の鈍化が見えてくる6月が有力だろう。年内に0.75~1%ほど引き下げられると予想する。(第一生命経済研究所 主席エコノミスト 田中 理)

コア物価上昇率を
下方修正したECB

 新型コロナウイルスの行動制限解除後の供給制約と、ロシアによるウクライナ侵攻後のエネルギー価格の高騰で、欧州を襲った歴史的な高インフレが沈静化に向かっている。

 ユーロ圏の消費者物価は、2022年秋から冬にかけて前年比で2桁台に上昇率が加速したが、エネルギー価格の押し上げが剥落したことや、企業の価格転嫁の動きが一服してきたことから、このところ上昇率の鈍化傾向が鮮明となってきている。

 こうした中で迎えた3月の理事会で、ECB(欧州中央銀行)は利下げを見送ったが、予測最終年(26年)のエネルギーと食料を除くコア物価の上昇率の見通しを2%に下方修正するなど、利下げ開始の準備が整いつつある。

 3月21日にはスイス国立銀行(中央銀行)が先進国中銀の中で先陣を切って利下げを開始した。次の利下げはFRB(米連邦準備制度理事会)が先か、それともECBが先となるのか。

 次ページ以降、本稿ではECBの利下げ時期やその後の利下げペースについて検討する。