早慶では慶應義塾に軍配
国立大が上位、有名私立も健闘
23年のランキングでは、5大総合商社全てで、慶應義塾大が1位を独占した。2位は、三菱商事、伊藤忠商事、丸紅が早稲田大で、三井物産と住友商事が東京大だった。3位は、三菱商事と丸紅が東京大で、伊藤忠商事が大阪大、三井物産が早稲田大、住友商事が京都大だった。
就職活動では、早稲田大の「稲門会」、慶應義塾大の「三田会」という卒業生組織が存在感を放っているが、5大総合商社では慶應義塾大に軍配が上がったようだ。また、東京大から総合商社への就職者数は、三井物産が最も多い。
全体的には、早慶や京都大、一橋大、東京工業大、北海道大、東北大、大阪大、京都大、神戸大、九州大などの有名国立大学が上位を占めている。
名古屋大は今回ランクインしていない。トヨタ自動車、デンソー、日本ガイシ、中部電力パワーグリッド、ブラザー工業など、名古屋本社やトヨタ自動車関連の企業への就職者が多いのが特徴だった。
また、上智大、青山学院大、立教大、明治大、同志社大など有名私立大学からも一定数が就職しており、健闘している。
キャリアパスの変化
産業横断的な能力が求められる
総合商社の共通目標は、脱炭素を中心とした持続可能な社会を実現し、同時に収益性を確保することだ。今では、業界を超えて社内外の関係者と協力し、利害関係を調整しながらプロジェクトを成功させる役割が重要になっている。
以前は、社員の基本的なキャリアパスは、商品・サービス分野別の縦割り組織の中で経験を積み、その業界のプロになることだった。
そのベースは維持しつつ、社会課題が複雑化する中、産業横断的にさまざまな業界のビジネスを結び付けられる人材が求められている。また、論理的思考力だけでなく、創造力も重視されている。
最近では、DX(デジタルトランスフォーメーション)とビジネスを結び付ける能力を持つ理系院生の内定者の割合が増えている。
また、例えば一級建築士の資格を持つ建築学科出身者がスマートシティービジネスに配属されたり、感性の高い芸術系大学出身者がリテールビジネスに配属されたりする傾向もある。これにより、能力の多様化が進んでいる。
*この記事は、株式会社大学通信の提供データを基に作成しています。
医科・歯科の単科大等を除く全国749大学に2023年春の就職状況を調査。567大学から得た回答を基にランキングを作成した。就職者数にグループ企業を含む場合がある。大学により、一部の学部・研究科を含まない場合がある。東京大学は「東京大学新聞」、京都大学は「京都大学新聞」より集計。大阪公立大は統合前の大阪市立大と大阪府立大の実績を掲載した。企業名は大学通信の調査方法にのっとって表記しており、正式名称と異なる場合がある。(調査/大学通信)