「一期」は人が生まれてから死ぬまで
二度と会えないとの気持ちで人に接する

今日の出会いに誠意を尽くす同書より転載

「一期一会」って茶会で良く用いられる言葉らしいです。

「一生に一度限りの出会い」などの意味で使われますが、これは安土桃山時代の茶人の千利休の、弟子の山上宗二の「茶の湯の秘伝書『山上宗二記』」に、千利休の言葉として「一期に一度の会」と記されています。

「お客様をもてなす茶会において、生涯に同じ茶会は二度とない」と言ったわけです。この一期一会の「一期」は仏教語で、これは人が生まれてから死ぬまでの期間のことを言います。

 一期四相(いちごしそう)という仏教語があるのですが、これは、人の人生上の苦しみを四つに整理した「生老病死」(生苦、老苦、病苦、死苦)という四つの苦しみです。

 人が生まれ、老い、病み、死ぬことは、人生において逃れられない苦悩です。四苦八苦という四字熟語の四苦は生老病死からきているのです。

 仏教においての苦しみは「思い通りにならないこと」を意味します。ですから、この生老病死を含む様々な苦難から逃れる智慧が何か、それを得るためにどうすればいいかを説いています。

 一期一会で出会う人たちには大切な人も含まれています。会いたい人に二度と会えないというのは、生きる上でこの上ない苦しみです。だからこそ、人と接するときは、次はないのだという気持ちで誠意を尽くしたいものです。