2014年、新装開店。狙いはズバリ当たり、「現在では、約7割が女性のお客さまです」(鈴木氏)。昼時にはウエーティングが出るほどの盛況で、口コミで訪れる新規客も増えたという。
「のれん会」を組織し
切磋琢磨しながら成長
メニューは冒頭の出汁香る完熟トマトそばの他、豆乳ベースのカレー汁に付けて食べる「グリル野菜と鴨ロース添え、クリーミーカレー温汁せいろ」など、低カロリー、低脂質、野菜を摂取できる多品目メニューをラインナップ。
そばは厳選した国産のそば粉を使い、冷たいつゆは枕崎産極上本鰹枯節、温かいつゆは土佐清水産極上宗田鰹枯節、薩摩産極上さば枯節の3種をブレンド。創作メニューも、「鰹出汁を生かしたバランスを工夫しています」と言う。
特に老舗企業にあっては、世代交代の際に何を変え、何を守るかは難しい決断を迫られる。たとえ古い常連客を失ったとしても、「現状維持は退化につながる」と強い覚悟で改革に挑んだことが、先代の理解も得ながら、新境地を開く結果につながった好事例といえよう。
鈴木氏は、のれん分けによって全国96店舗ある「増田屋のれん会」の7代目会長も務める。フランチャイズと異なり、緩やかなネットワークの下、立地や地域性に合わせた個々の店の成長に向け切磋琢磨し、定期的に情報交換を実践。増田屋というのれんのブランド力向上にも注力する。
コロナ禍が明け、インバウンドのニーズも増える中、「あらためて新規メニューの開発や神宮外苑地区の再開発に合わせた店のコンセプトの再定義にも着手したいと考えています」と鈴木氏。次なる事業承継を円滑に実践するためにも、より魅力的な店づくりにまい進する構えだ。
(「しんきん経営情報」2024年5月号掲載、協力/城南信用金庫)