僕にとっての目的は、あくまで良い作品を作って売ることであって、いくら著者のことが好きであっても、気に入られることは目的にはならない。だから僕は、怒られるかもしれないと考えて何かを躊躇することはない。作品が良くなるのなら言いにくいことも言う。

 それは、その瞬間嫌われても、売れればいいと思っているからだ。地雷を踏みながらでも、ゴールまで駆け抜けてやるみたいな感覚。萎縮することもない。

 なぜなら、いくら良好な関係だったとしても、まったく本が売れなかったらお互いにもう一緒に仕事しないからだ。そこはシビアだ。ビジネスというのは友達ごっことは違う。結果と結果、力と力で向き合うしかない。しっかりと自分が思うことを伝え、良い作品に仕上げる。

 それが売れれば、その過程でどんなに「こいつ、図々しいな」と思われても、評価は一気に逆転する。編集者と著者の関係を超えていく。

結果を出す変態に仕事が集まる
目的地を睨んで走り続けろ

 僕は結果的に、本を出した著者とは、単なる著者と編集者を超えた関係になっている。見城徹が社長を務める幻冬舎の社員になり、堀江貴文のオンラインサロンで編集学部教授を任せてもらっていて、NewsPicksの佐々木紀彦とは「NewsPicksアカデミア」というサービスを立ち上げた。

 他にも数限りなく、本を作ったあとには本を超えて繋がっている。それは僕が著者の顔色ではなく目的を見ているからだ。結果が出ない良い人より、強引にでも結果を出す変態に仕事は集まる。ホリエモンにNewsPicksCOMICの編集長に就任してもらうときも、飲み会で一言いえばOKをもらえる。

 普段なかなか動かない案件もLINE1本、電話1本で「箕輪ならしょうがねえ」と大きな話を決めることができる。それは箕輪ならなんだかんだカタチにするだろうと信頼してもらえているからだ。媚を千回売っても信頼は生まれない。衝突、揉め事上等で、ただ目的地だけをにらんで走り抜けろ。

 目的を達成することは仕事人として何よりも大切なことだ。しかし技術が進化し情報が溢れている現在、機能的な役割を担うということは代替可能な存在になることを意味する。

 著作家の山口周さんがこれからは「『役に立つ』より『意味がある』に価値がつく」と言い、多くのビジネスパーソンが納得した。「役に立つ」という機能性で競争するとトップの1つしか生き残れない。2番目に役に立つホチキスや地図はいらない。

 そこで「役に立つ」ではなく「意味がある」にシフトすると、その競争から逃れられる。