高橋幹夫警察庁長官は日本自動車連盟(JAF)に天下り、その理事長を15年間にわたって務めた。毎年、多額の報酬を受けていたが、死亡退職にあたっては「JAFから10億円近い巨額の退職金を受け取ったことが報じられ、今度は世間を呆れさせた」(寺尾文孝『闇の盾』)。

 また、各都道府県や各警察署の交通安全協会は退職警察官の重要な受け入れ先ともなっている。各都道府県の交通安全協会は自動車運転免許に関わる事務手続きや講習などを委託されている。各県にある指定自動車教習所の協会や指定自動車教習所の所長、各県にあるタクシー・ハイヤー協会へ天下る都道府県警察本部や警察署の幹部警察官もいる。

 交通に関連する企業としては、トヨタ自動車などの自動車メーカー、ヤナセなどの自動車販売業、JRなどの鉄道・交通業へ天下る(バスと接触事故を起こしたら、バスのほうが無理な車線変更や割り込みをしてきたにもかかわらず、バス会社の『警察から天下ってきた』事故担当者が飛んできて、自分のほうが悪いことにされてしまった、という一般の運転者のぼやきはしばしば聞く)。

 さらに、道路交通情報通信システムセンター、新交通管理システム協会、日本交通管理技術協会などの協会から、情報産業との関係が浮かび上がるが、富士通、三菱電機などの情報機器産業への就職もある。

セコムの顧問には警察がズラリ
ALSOKの創設者は警察官僚

 交通関係として警察に特徴的なのは、信号機の設計やメインテナンスがある。

 たとえば「東管」という会社には、警察庁として警視監ナンバー3の地位だと言われる警察大学校長で退官した後、JR東海の監査役や道路交通情報通信システムセンターの専務理事を務めた全日本交通安全協会の評議員が、特別顧問になっている。

 株式会社となっている各地の空港への天下りもある。

 なお、キャリア幹部が天下る保険業のなかでも、自動車保険関係が強い保険会社は、交通に関連する企業と言ってもいいのかもしれない。