薬局・薬剤師 サバイバルダンス#12Photo:JIJI

サプリメントの健康被害問題が発生した小林製薬の小林章浩社長は引責辞任するのか否か。同社取締役会は4月末、ガバナンス問題や経営責任の有無について調査・検証することを決議した。特集『薬局・薬剤師 サバイバルダンス』(全24回)の#12では、小林製薬の問題とともに、ヘルスケア業界の同族企業で相次ぐ不祥事の顛末に迫る。(ダイヤモンド編集部副編集長 臼井真粧美)

進退への明言避けた小林製薬社長
「経営責任の有無」調査・検証へ

 紅こうじ成分入りサプリメント「紅麹コレステヘルプ」で健康被害が発生した小林製薬は4月末、臨時取締役会において、今回の問題への一連の対応の適切性について、取締役会の主導で調査・検証することを決めた。

 1月15日に医師から最初の症例について報告を受けてから、3月22日に問題を公表して自主回収に踏み切るまで、2カ月余りがかかった。その間にも服用を続けていた消費者がいたわけで、公表が遅れたことに対し、コーポレートガバナンス(企業統治)が機能していなかったという批判が起こっている。

 そんな中で、当時の意思決定やその基盤となるコーポレートガバナンス(企業統治)に問題はなかったのかを検証し、再発防止策や経営責任・法的責任の有無を明確にするのだ。

 3月22日に問題が公表される直前まで、社外取締役には情報が共有されていなかった。この社外取締役4人の下で、情報共有や意思決定の実態、品質管理体制などの調査・検証は進められる。社内の取締役である小林一雅会長や小林章浩社長、山根聡専務は審議・決議に加わらない。

 章浩社長はそれまでの会見で自身の進退を問われると、辞任は「今のところ考えていない」と明言を避け、取り組まなくてはいけないことに集中すると答えていた。

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