今年4月、姫路獨協大学が6年制薬学部の学生募集停止を発表した。入学後に薬学部閉鎖の憂き目に遭わないためにも、薬学部への進学を目指すなら、受験しようとする大学の財務状況を知っておきたい。薬学部「淘汰危険度」ランキング(本特集#10『薬学部「淘汰危険度」ランキング【全国56私立大学】1位は加計学園に見捨てられた大学、史上初!財務指標付き』)に続いて、特集『薬局・薬剤師 サバイバルダンス』(全24回)の#17では、薬学部のある全国55私立大学の財務ランキングの第1弾として、大学の“稼ぐ力 ”を示す「経常収支差額比率」ワーストランキングを公開する。(ダイヤモンド編集部 竹田孝洋、野村聖子)
入学定員充足率が低いと
国の私学助成金も減額・不交付に
2006年度の6年制導入以後、近未来の少子化は確定的だったにもかかわらず、全国で雨後のたけのこのように増加した薬学部。案の定、私立大学のうち約3割は入学者が定員の8割を切っている。
学生が集まらなければ、主な収入源である入学金や授業料も集まらず、経営への影響は甚大だ。しかも、文部科学省は22年8月に発表した「6年制課程における薬学部教育の質保証に関するとりまとめ」において、学生が集まらない大学に対して、今後私学助成金の減額・不交付もあり得ると警告している。
国公立大学のように国からの運営交付金がない私立大学にとって、私学助成金は頼みの綱。つまり、入学定員充足率が低い不人気な大学は、入学金や授業料が集まらないだけでなく、国からの私学助成金も望めなくなるというわけだ。
ただ、不動産など教育活動以外の事業や、卒業生からの寄付金など、他の収入源や資産があれば、維持は可能だ。だからこそ、薬学部に進学するなら、検討している大学の財務指標をチェックすることが肝要となる。
そこで今回、薬学部のある全国55私立大学の財務諸表について18~22年度の5年間分を分析し、八つの経営指標ごとにランキングを作成した。次ページでは、その第1弾として「経常収支差額比率ランキング」を公開する。